ハンドル近くにあればなんでもOKってマジか! ウインカーはレバーでもボタンでも右でも左でも問題なしと結構アバウトな規定だった

この記事をまとめると

■ほとんどの日本車はステアリングコラムの右側にウインカーレバーを備える

■保安基準では方向指示器はレバー型であることやその位置などは定められていない

■欧州系輸入車で左側にウインカーレバーがあるのはISO規格によって定められているからだ

日本車ならステアリングコラムの右側にレバーがあるのは当たり前

 右左折や進路変更を行うときにウインカーを出すことは道路交通法で定められている。そして、日本向けの日本車であれば、ハンドルの右側にあるレバーでウインカーを操作するのが、なかば常識的だ。

 ただし、ウインカーは右側のレバーで操作するものだと思い込んでいると運転時にパニックになってしまいそうなクルマもある。たとえば左ハンドル車の場合、多くは左側にウインカーレバーが備わっているし、左ハンドルを基本とする欧州車などでは、日本向けの右ハンドル仕様であっても、ウインカーレバーはハンドルの左に位置していたりする。

 さらに、ランボルギーニやフェラーリといったエキゾチックカーにおいては、ステアリングスポークあたりのボタンスイッチでウインカーを操作するようになっているケースもある。はたして、ウインカーのスイッチに決まりはないのだろうか?

 日本で公道を走るクルマについては、すべて道路運送車両法に則って、保安基準を満たしている必要がある。その保安基準では、ウインカーのことを「方向指示器」と表現している。そして、「方向指示器の操作装置又はその附近には、当該方向指示器が指示する方向ごとの操作位置を運転手が運転手席において容易に識別できるような表示をしなければならない」というのが保安基準で定められている内容だ。

 さらに、方向指示器の操作装置を含めた「自動車の運転に際して操作を必要とする」装置については、「かじ取りハンドルの中心から左右にそれぞれ500mm以内に配置され、運転手が定位置において容易に操作できるものでなければならない」と定められている。

 こうした保安基準の文言をチェックしていくと、じつはどこにもレバー型であることや、左右の配置について定められていない。つまり、輸入車でよく見かける左側レバーはもちろん、スーパーカーなどが採用するボタン式であっても保安基準は満たしていることになる。

 ちなみに、主に欧州系の輸入車において、右ハンドルでも左側にウインカーレバーが配されているのは、ISO規格によってハンドル位置にかかわらず、ウインカーレバーは左にすべしと定められているからだ。ただし、この規格には強制力がないため、日本向けにはユーザーが慣れ親しんだ右側ウインカーレバーにしてもかまわないし、スーパーカーのようにボタン式を採用しても問題ないのである。

 余談だが、ウインカーの出し方がわからないと運転できないと思ってしまうかもしれないが、手信号による方向指示という手段がある。右ハンドルの場合、窓から右手を水平に出した状態が右折の合図、右手を肘のところで曲げて手を垂直に立てると左折の合図となっている。

 ウインカーの操作系が見つからないときに使う手段ではないが、球切れや操作系のトラブルでウインカーが作動しなくなったときには、手信号を出すことで安全に移動することができる。これは慣例ではなく、しっかり法で定められた方法だ。

 なお、手信号を出しっぱなしでは片手運転になってしまう。右左折時にはその30m手前で、車線変更の際には3秒前に手信号を出して周囲の車両に意思表示をしたら、そこからはしっかりと両手でハンドルを握るなどして運転するようにしたい。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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