EVのソルテラが先に登場してあとからフルハイブリッドのクロストレックを発売! スバルの電動化戦略の謎 (2/2ページ)

ストロングハイブリッドは新たな選択肢のひとつ

 冒頭でも触れた最新の経営方針、「SUBARU ビジネスアップデート」によると、トヨタ式のストロングハイブリッドは、クロストレックに続き次期フォレスターにも搭載予定とアナウンスされている。そして、このタイミングでストロングハイブリッドを続々とローンチする理由については、「バッテリーEV移行初期において、お客さまの選択肢を増やすために重要」といった風に表現された。

 もともとプリウスにはじまったトヨタ式のシリーズパラレルハイブリッドは、圧倒的な燃費性能を目指したものだったが、スバルにおいてはEVへの移行期における選択肢のひとつという位置づけというわけだ。

 気候変動対策としてCO2排出減が待ったなしといった状況だ。将来的には化石燃料の採掘を停止するという動きもある。そうなると、再生可能エネルギーでの発電を前提に、バッテリーを充電するEVというのは有力な選択肢となり得るのは間違いない。それはスバルも認めている。

 しかしながら、EVシフトの減速が報道されているように、ユーザーニーズはさまざまで、一気呵成にEVへ移行するわけではない。そうした不透明な将来に対応するため、スバルは「柔軟性」をキーワードに経営方針を定めている。

 とはいえ、先々にバッテリーEVが主力となるであろうことは確実視されている。そこでスバルは、EV開発を中心の体制に進化しつつ、エンジン車の開発を継続するという方針を立てた。つまり、EVの開発で得た知見をエンジン車にも展開するという体制への変身だ。

 2018年、北米においてプラグインハイブリッドをローンチしたのはアメリカの規制に対応するためであった。しかし、2024年に日本でストロングハイブリッドを登場させるのは、EV移行期における開発体制の変化によるという点が違いといえる。

 結果として、マイルドハイブリッド、ストロングハイブリッド、バッテリーEVと電動化時代における選択肢を増やし、タイムリーにスバリストのニーズを満たすという戦略が現実化することになったのだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
趣味
モトブログを作ること
好きな有名人
菅麻貴子(作詞家)

新着情報