ど派手なガルウイングだけど走ればガチもんのピュアスポーツ! 単なるSL300のリバイバルじゃない「SLS AMG」の韋駄天っぷり (2/2ページ)

実際に乗って感じた安定性とエアロダイナミクス

 フロントミッドシップされるエンジンは、メルセデスAMGでは「M159」型と呼ばれる6.3リッターのV型8気筒DOHCで、これは同社の「M156」型をベースに潤滑方式をドライサンプ化したほか、構成部品の多くを再設計したもの。

 最高出力と最大トルクは、それぞれ571馬力、650Nmという数字で、このエンジンから出力されたトルクは、重量がわずかに4kgというカーボンファイバー製のドライブシャフトを介してリヤに搭載される、これもSLS AMGで新開発されたAMGスピードシフトDCT 7速ミッションに伝達される。

 ちなみにこのミッションは、一般的なトルクコンバーター式ATの中身を、湿式多板クラッチに置き換えたもの。そのフィーリングは高い評価を得た。

 また、いわゆるトランスアクスル方式を採用したことで、前後の重量配分は47:53となり、これはブレーキング時の荷重移動を考えれば理想的な設定と考えることができる。

 実際に試乗してみたSLS AMGでまず印象的だったのは、その重心の低さを理由とする安定性の高さと、優れたエアロダイアミクスだった。トランクリッドには、車速が120km/hを超えると自動的にリフトアップするリヤスポイラーが備えられているが、その効果も十分に納得できるものだったことは鮮明な記憶だ。0-100km/h加速で3.2秒。最高速では317km/hを記録した。

 そのバリエーションには、2011年にはソフトトップを採用した「ロードスター」が加わったほか、591馬力に最高出力を高めた「GT」、さらには631馬力仕様の限定モデル、「ブラックシリーズ」などが誕生した。BEVの「E-Cell」が2010年に発表されたのも大きな話題だった。

メルセデス・ベンツ SLS AMGの限定モデル「ブラックシリーズ」

 そして、SLS AMGを成功に導いたメルセデスAMGは2014年、その実質的な後継車となる「GT」を発表。よりポピュラーなスーパーカー市場への参入を図ることになったのである。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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