一般人が認められることはレアケース
緊急避難が認められる場合とは?
ここで例を挙げて駐車禁止の取り締まりが緊急避難として認められるか考えてみましょう。
想像しやすい例でたとえると、運転中に腹痛に襲われ、駐車禁止場所にクルマを停めてトイレへ行き、戻ってきたら駐車禁止の取り締まりがされていた……。このような場合は、緊急避難として認められるのでしょうか。
結果をいうと、この事例の場合は緊急避難として認められない可能性が高いです。
では、もうひとつ事例を挙げて緊急避難が適用されるか考えてみましょう。
走行中に対向車が中央線をはみ出して来たため、対向車を避けようとして、減速して左に寄せたときに、左後方を通行していたバイクに接触してしまい、バイクの運転者が軽い怪我をしたので救護のためにクルマを停めた……。この場合は緊急避難が認められるでしょうか。
この事例の場合は、緊急避難として認められる可能性が高いです。
上記のふたつの事例からわかるように、緊急性が高いだけでなく、危険を避けるためにやむを得ず取った行動でなければ、緊急避難は認められません。腹痛の場合、緊急性は高いかもしれませんが、危難ではないと考えられます(当事者にとっては危難ですが……)。
危険が起きていて緊急性が高いとき以外は緊急避難は認められない
緊急避難が認められるのは、緊急性が高い危険が発生しているときに行った行為にのみ適用されます。そのため、駐車禁止の取り締まりが緊急避難によって我々一般人に対して免除されることはほぼないといえます。ただし、命や身の危険が迫っているときは、緊急避難が認められるというのは覚えておいて損はない知識といえるでしょう。