WEB CARTOP | 独自の企画と情報でクルマを斬る自動車メディア

パンク知らずで空気圧チェックも不要! ブリヂストンの夢のタイヤ「AirFree」に乗ったらアリだった (1/2ページ)

パンク知らずで空気圧チェックも不要! ブリヂストンの夢のタイヤ「AirFree」に乗ったらアリだった

この記事をまとめると

■ブリヂストンのエアレスタイヤ「AirFree」に試乗

■グリーンスローモビリティへの装着を想定している

■環境に配慮した素材を取り入れており製品寿命も長い点が特徴だ

話題のタイヤがいよいよ製品化目前!?

 ここ数年でモーターショーなどに行き、さらにはタイヤメーカーブースに足を運んだ人であれば、奇妙なタイヤが置いてある場面を見たことがあるのではないだろうか?

 そう。「エアレスタイヤ」だ。現在までに数社が似たようなものを発表している。

「空気がいらないタイヤとかスゲェ!」と、アツくなった人もきっと多いはず。筆者もそのひとりである。しかも、見た目もこんなキテレツなのだから、インパクトも抜群である。もちろん、サーキットで走りまわるようなシーンでは使えないことくらいは承知済み(見るからに無理そうだ)。

 と、まぁ実物の展示は見て驚いたところで、「これが使える(世に出る)のはいったいいつなんだ?」という疑問が残るのがこの手の製品。だいたい、イベントでコンセプトとして展示されている製品なぞ、世に出てくるころには姿形がすっかり変わっているか、いつの間にかなかったことになり、「あったあった」と昔話になるのが関の山。

 ……とかなんとか当時は思っていたが、それは予想もしない形でやってきた。

 そう。展示で見ていただけのエアレスタイヤになんと乗る機会がやってきたのだ。しかも発表時とほぼ大差ないそのままの見た目のものを転がせるそう。これはもう乗るしかない!

 そんなわけで今回エアレスタイヤの試乗に訪れたのは、東京都小平市にあるブリヂストンの技術センター。ここでは航空機用タイヤなどを製造しているそう。集合場所ではダイハツ・ミライースがお出迎え。

 その足もとには、「穴が開くまで見ろ!」といわんばかりに主張が強い今回の主役、「エアレスタイヤ」が装備されている。

 さて。今回の主役であるこのブリヂストンのエアレスタイヤ、正式名称は「AirFree」という製品名だ。2024年のグッドデザイン賞もめでたく受賞しているそう。この見た目ともなれば、素人感覚でも受賞は納得。

 開発の経緯に触れると、ブリヂストンでは自動車業界における他社同様に、カーボンニュートラル社会実現へ向けたさまざまな活動を行なっている。その一環として、タイヤの再生事業や、使用する素材に再生可能素材を投入することに注力しているそう。その活動のひとつとして開発されたのがこのエアレスタイヤ、「AirFree」というわけだ。

「安心安全+サスティナビリティ=より長く使う」が同製品のコンセプトとのこと。

 ちなみにこのタイヤ、筆者が勉強不足だったのでこのとき知ったのだが、すでに小平界隈の公道で実証実験も行なっていたそう(コンビニなどによると質問攻めに遭ったとか)。さらにいうと、クローズド環境においては3年前から協力工場の敷地内などで転がしていたらしい。

 そんなエアレスタイヤの歴史は、ブリヂストン社内においてそこそこ長い歴史をもっているようで、第一世代の登場はなんと2008年なんだそう。16年も前となれば、筆者はステアリングではなく鉛筆を必死に握ってたころだ。そのころのエアレスタイヤは車重200kg程度、移動速度は極低速、ひとり乗りのモビリティで使うことを想定していたらしい。その後、2013年に第2世代へと進化して、車重500kg程度、ふたり乗りくらいまでの車両に使えるよう着々と進化を続ける。そしてこの「AirFree」が第三世代モデルとなる。これだと、車重1tほどまで耐えられ、車速60km/hくらいまでに対応できるそう。

 現在、このタイヤは過疎地域などで高齢者の移動を担う、グリーンスローモビリティ(以下:グリスロ)での使用を想定中だ。グリスロの特徴は、時速20km/h以下の速度で移動する電動車を、自治体などの職員が操り、移動が困難な人たちを運ぶといったもの。2種免許が不要なほか、電動なので臭いや騒音も発しない点がメリットとなっており、ボディ全面がビニール製の窓を使ったオープンボディを採用していることで、地域住民による乗員の見守りができたり、乗員同士によるコミニュケーションの場にもなるんだとか。

 ゴルフカートのような4人乗りの小さなモノから最大で18人ほど乗れる大型のモノまであり、実証実験も全国で130カ所以上で実施済み。これから38地域で本格運行することも決まっている……といういまホットなモビリティだ。

 そんなグリスロは、先述の過疎地域などにおける道の状態が不安定な場所での運行が目立つ。そこでこの「AirFree」がバッチリはまる。エアレスタイヤなので1度つければ製品名のとおり空気不要で、パンクの心配もなしでメンテフリー。しかもこれ、グリスロで使用するのであれば耐用年数は10年ほどあるそう。期間だけの話でいえば、通常のタイヤの倍以上使えることになる。サスティナブルっぷり全開だ。

 ではでは、前置きが長くなったが、「AirFree」についてだいたいわかったところでいざ試乗といこう。

画像ギャラリー

WRITERS

モバイルバージョンを終了