車両火災対策で「消火器」を積むなら「種類」に注意! 場合によっては人体に有害なものも存在する!! (2/2ページ)

消化物を汚損しないガス系消火器だけど使用時には注意が必要

 さて、ガス系の消火剤だが、不活性ガス型とハロゲン化物型のふたつに分けることができる。最初に触れたハロン1301は、臭素を含むハロゲン化炭化水素のひとつで、消火剤としてはほかにハロン1211、ハロン2402が用いられてきた。このハロゲン化物消火器は、もともと航空機搭載用として開発されたもので、重量容積に対して単位容積あたりの消火力が大きいという特徴があった。簡単にいえば、小型高効率と呼べる消火器で、レーシングカーの車載消火器としても活用されてきた歴史がある。

 しかし、これらハロゲン化物は、大気中に放出されるとオゾン層破壊の原因になるとして、1994年以降は新たな生産が中止されている。もっとも、ハロン1301を使う消火システムは、必要最小限の範囲と認められた場合にのみ、まだその使用が認められている。

 ハロン1301を使う消火システムが設置された個所、たとえば駐車場などで「ハロン1301、危険」といった表記があるのは、消火時に放出されたガスが、熱によって人体に有害な熱分解生成物を発生するためで、火災発生時には速やかにその場から非難することを促す強い注意の喚起である。ただ、ハロンガスそのものは、直接人体に害をおよぼす性質のものではない。

 一方、不活性ガス型の消火システム(消火器)も、ガスの放出によって低酸素状態が作り出されるため、人体にとって危険となるが、これは窒素ガスなどの場合で、二酸化炭素を消火剤に使う場合は、消火効果は別にして、二酸化炭素が直接的に人命に影響をおよぼすため、もっとも注意しなければならない消火システム、消火剤といえるだろう。

 場所によっては、火災発生の際、消火効果を高めるため、また延焼を防ぐため、シャッターや防火扉を作動させてその区画を密閉できる設備を持つところも少なからずある。その際、いちばん恐いのは逃げ遅れだ。最悪の場合、避難路が断たれることもある。「ハロン1301使用、注意」の表記は、こうした状況まで含めた警告と受け止めてよいだろう。


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