「支払は今度で……」なんていまだ人情話もある日本の路線バスもシッカリ経営に! キャッシュレス化がもたらすメリットとは (2/2ページ)

キャッシュレス化で無銭乗車はなくなる?

 一般的には1000円札の両替や、均一運賃では1000円札を入れてお釣りが出てくることもあり、極めて稀だが1万円札での両替や、お釣り機能も運賃箱に付加することも可能となっている。そのような現金決済での多機能化を実現するためにも、運賃箱はタワー型となっていたのである。ちなみにアメリカの路線バスは筆者の経験ではまだ現金が使えるがお釣りは出てこない。

 筆者が訪れた中国や東南アジアなどの国々では、完全キャッシュレスでの運賃支払いが導入されており、コンパクトなカードをタップする機器のみ車内に設置されているだけであった。

 コロナ禍直前に日本のようなワンマン運行でキャッシュレス化したのが、インドネシアの首都ジャカルタの一般路線バス。それから5年ほど経つが、いまだに補助員が乗り込み、運賃支払いに慣れていない乗客への説明を続けている。

 日本でもたまにしか路線バスを利用しない人を中心に運賃支払いにとまどう人が意外なほど多い。地域によって均一運賃と区間運賃、前扉乗車・中扉降車あるいは中扉乗車・前扉降車などバラバラなことで混乱する人もいるようだ。

 そのなか、たとえば1000円での両替機能やお釣り機能のない運賃箱のバスに「1万円しかもっていない」として乗ってくる人がたまにいる。そんなときには、「今回は払わなくていいから、次に乗ったときにまとめて払ってくれ」とする運転士が多いとも聞く。

「それでは乗らないでください」と冷たくあしらわないところはいかにも日本的なのだが……、「現状のキャッシュレス決済のさらに先には『顔認証での運賃決済』というものも視野に入っています。つまり、乗車するからには、カメラにて顔が記録されることになります(つまり運行している間の乗降客数がしっかり管理される)。

 導入過渡期にまだ現金決済が残っていた場合、乗車したという記録は残りますのでいままでみたいに『1万円しかないならば後でまとめて払って』とはいかずに無賃乗車として判断されることにもなりかねないとのことです」(事情通)。

 完全キャッシュレス化により、バス事業者の経営改善効果が期待できるとしているのは、確実に運賃をその場で収受するという目的も含めて経営改善といっているようにも筆者には聞こえる。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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