超イケてる新型ムラーノをデザインのプロが分析! 個性を主張する「デジタルVモーション」の使いすぎには要注意 (2/2ページ)

新型ムラーノのデザインを検証

●静と動を組み合わせた新しい日産デザイン

 で、新型のデザインコンセプトは「エネルギッシュ✕エレガント」。まずは初代から継承される「ムラーノらしさ」を探してみると、ボリューム感のあるフロントに滑らかなルーフラインをはじめとした流麗なボディシルエットが見て取れます。さらに、リヤへ向けてキックアップするベルトラインによる軽快なサイドグラフィックが「らしさ」を担保しているようです。

 じゃあ新型の特徴は? というと、最初に目に入るのがボディサイド。リヤへ向けて緩やかに下るキャラクターラインと、その先の大きく張り出したリヤフェンダーの組み合わせです。前者の繊細なキャラクターラインは「エレガントさ」と同時に「タイムレス ジャパニーズ フューチャリズム」特有の先鋭さももち合わせています。

 一方、リヤフェンダーの張り出しはまさに「エネルギッシュ」そのものですが、最近の日産車ではこのエモーショナルな造形はなかなか珍しいかもしれません。もちろん、繊細なキャラクターラインとの「対比」も意図されたものでしょう。

 エレガントさの表現としては、ルーフに沿ったシルバーの長いモールも大きな役割を持っています。巷ではフェアレディZと似ているなんて話があるようですが、同車が「刀」という強いイメージを打ち出していたのに対し、ムラーノではルーフラインを美しく飾る脇役に徹しているのが異なるところです。

●統一デザインのなかでモデルごとの個性を出すには?

 さて、ひとつ心配なのはフロントを飾るご存じデジタルVモーションです。先に公開された新しいキックスもそうですが、ムラーノもこのグリルを最大限効果的に使った造形になっています。

 その表情は極めて個性的であり、だからこそ新しい日産としての「顔」になっているのですが、あまりにインパクトがあるので、どの車種も似たような表情になってしまい、結果として個性を感じにくくなってしまう危険性を感じるのです。

 日産にとってデジタルVモーションは「タイムレス・ジャパニーズ・フューチャリズム」をより強く演出する大きな「発見」だったワケですが、その使い方には相応の工夫が必要なのかもしれません。


すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

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いすゞFFジェミニ4ドア・イルムシャー(1986年式)
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オヤジバンド(ドラムやってます)/音楽鑑賞(ジャズ・フュージョンなど) /カフェ巡り/ドライブ
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