タント・ファンクロスならではの装備も
タント一族は独自のシートアレンジ性にも見るべき点がある。それが540mmの運転席ロングスライドシートと380mmの助手席ロングスライドシート、さらに240mmの後席左右独立ロングスライド機構だ。そのおかげで、運転席の母親が後席に座った子どものケアがしやすいだけでなく、運転席から後席への移動もらくらく。助手席を一番前にスライドさせれば、後席左側席の足もとに広大なスペースが生まれ、リムジンのように足もと広々、リラックスできるのである。
そして、クロスオーバー系軽自動車唯一の装備がミラクルオープンドア。助手席を前出しして(ここがポイント)、ミラクルオープンドアと運転席側スライドドアを開けば、後席が足もと広々な風通しのいいシートバックテーブル付きテラス席的スペースになるのだ。この感覚はデリカミニ、スペーシアギア、N-BOX JOYでは得られないもの。
そこに純正アクセサリーのカータープ(3万5200円)を張れば、アウトドアライフにぴったりなグランピング施設のような居住空間ができることになる。アースカラーのタント・ファンクロスとカータープの組み合わせでキメれば、見た目、アウトドアの達人である。
ただし、軽自動車にいち早く安全装備や先進運転支援機能を充実させたダイハツ車にして、ACCやレーンキープコントロールなどの機能は、スマートクルーズパックとしてメーカーオプション(ACC、レーンキープコントロール、専用ディスプレイ、ステアリングスイッチ、ETCユニット、コーナリングトレースアシストなどを含む)。
それらはスペーシアギアやN-BOX JOYに標準装備され、スペーシアギアに至っては軽自動車のACC唯一のカーブ速度抑制機能や車線変更時補助機能まで備わるのだから、ちょっと遅れている感はある……。タント・ファンクロスを買い、アウトドアを楽しむなら、アウトドアフィールドへのロングドライブがより快適便利になるスマートクルーズパックは必須のオプションと断言したい。
とはいえ、タント・ファンクロスの顔つきはデリカミニと同様、かなりアグレッシブで個性的。アウトドアに似合うツウなクルマの選択肢としても、なかなかだと思えるのだ。タント=子育てファミリー御用達軽自動車というイメージをもつ人も少なくないはずだが、だったらタント・ファンクロスではなく、ダイハツ・ファンクロスという車名にしてもよかったのではないか、なんて思ったりもする。それほど標準型タントとは別物のワイルドなキャラクターのもち主なのである。
このところ軽自動車のジャンルでクロスオーバー&スーパーハイト系のデリカミニやスペーシアギア、N-BOX JOYが盛り上がってはいるが、このジャンルのクロスオーバー軽自動車にはタント・ファンクロスもあることをお忘れなく。