最近は段差が徐々に低くなっている
ただし、国土交通省によれば、高齢者や身体障害者、車イスやベビーカーなどが通行しにくいため、段差をなくしてほしいといった意見が多く寄せられ、マウントアップ形式ではなくセミフラット形式といって、高さが5cm程度の段差を採用することが多くなっていきました。その後、47都道府県の約7割で、さらに低い段差2cmのフラット形式が採用されています。
こうした変化は、平成18年12月に施工された「バリアフリー法」が平成30年と令和2年にそれぞれ改正され、最新の内容が関連している部分もあります。道路関連では、移動等円滑化がとくに必要な道路として、重点整備地区内の主要な生活関連経路を構成する道路等で国土交通大臣が指定する道路を「特定道路」と定め、移動等円滑化のために必要な道路の構造に関する基準(道路移動等円滑化基準)に適合させる必要がある、としています。
その「道路移動等円滑化基準」のガイドラインのなかに、こんな考え方が記載されています。
「視覚障害者の安全かつ円滑な交通を確保するためには、歩車道境界を明確に示さなければならない。このため、歩道等と横断歩道を設ける車道等の部分との境界には、車椅子使用者が困難なく通行でき、かつ、視覚障害者(盲導犬使用者を含む)が歩車道境界部を白杖や足により容易に認知できるよう、高さ2cmを標準とした段差を設ける。
縁端構造は段差2cmを標準とするが、車椅子使用者、高齢者等の安全かつ 円滑な通行のためには、段差、高低差がなく、勾配が緩いものが望ましい。 一方、視覚障害者の安全かつ円滑な通行のためには、歩車道境界を識別する 手がかりとして、ある程度の段差、高低差、勾配があるほうが望ましいなど、道路利用者の特性によって望ましい構造が異なるものである。
そのため、縁端構造の検討にあたっては、段差2cmを標準とされているこ とを踏まえつつも、地域の状況や様々な道路利用者の意見も勘案し、合意を形成した上で、安全性と利便性を両立させる方法を検討することが望ましい。なお、段差2cm以外の方法が合意された場合には、安全性の観点から視覚障害者等の道路利用者へ周知することが望ましい。」
というわけで、すべての人が安全にスムースに移動できる道路の実現に向かって、着々と整備が進められています。結果的にではありますが、車高の低いクルマにもやさしい、下まわりを擦りにくい駐車場の入り口も増えていくのではないでしょうか。