【試乗】新型CR-Vの日本導入は水素燃料電池車のみ! 特殊なクルマかと思ったら実用性十分の「買いやすい」モデルだった (2/2ページ)

EVとして走らせることも可能!

 車輪の発生する振動は車体でうまく減衰され、乗員に不快感を与えない。加えて遮音性能が高く、外界の雑音もシャットダウンされるので静かで居心地がいい。

 電動モーターで前輪を駆動するFFで、モーターの最高出力は130kW。最大トルク310Nmが発揮され、十分な出力スペックが与えられている。ちなみにメーカーが公表している最高速度は160km/h。これはモーターの最高回転数に起因しているのだろう。

 ドライブモードはデフォルトのノーマルの他にスポーツ、ECON、スノーと選択でき、市街地走行はノーマルでのドライバビリティで過不足ない。

 燃料電池車の仕組みは、水素燃料タンクから燃料電池スタックに水素を送り、そこで酸素と反応させて発電しモーターに給電する。それが今回のモデルでは17.7kWhのリチウムイオン電池をフロア下に搭載し、外部からも充電することで電気自動車として走らせることもできる点が新しい。

 WLTCモードで電気自動車としては約61kmのEV走行が可能で、自宅で100Vあるいは200Vの充電設備があれば、日常的にEVとして使うことができる。また、水素燃料はふたつの円筒型タンクを搭載し、計4.3kgの充填が可能だ。バッテリーと水素タンクが満タンであれば、WLTCモードで621kmという長いレンジで走行可能となる。

 水素でもバッテリーでも駆動モーターは同じなので、ドライバビリティにはもちろん変化ない。また、チャージモードを備えていて水素燃料を使い約1時間で駆動バッテリーを満充電にすることもできる。V2H(ビークルから家)やV2L(家電製品)も備えるなど、近年のPHEVやBEVなどの装備に準じていて実用性が大幅に高まっているのである。

 水素燃料タンクによりリヤラゲッジスペースが一部影響を受けているが、耐荷重30kgのトノカバーで仕切られフルフラットな荷室を得るなど工夫を凝らしている。

 走り、使い勝手、環境性能に優れ、補助金も受ければ一般の人でも購入しやすい。水素のインフラが身近になくても電気自動車として走行できる新しい燃料電池車のあり方を提案している。この新しいパッケージングに魅力を感じる人は多くなりそうだ。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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