【試乗】N-VAN e:は商用車「らしくない」走り! 静かで使えてガマン知らずの走りはノンストレスで仕事ができる!! (2/2ページ)

数値では表せない魅力に溢れる「N-VAN e:」の走り

 また、e: L4の内装はグレーを基調としているが、e: FUNではアイボリーになり、外装色の鉄板がむき出しの色と材質が作る空間はちょっとオシャレな道具っぽい。ジャージー素材のシートもインテリアの雰囲気をさり気なく高めていた。

 装備面を重視したe: FUNでは、あると便利で快適な、たとえばスマートキーやバニティミラー、IR/UVカット機能付きガラスをフロントに採用している。

 後席は座面も背もたれも薄いけれど(これはバンなのだからご容赦あれ)、そんな後席を低床の床に畳んでペタンと敷けば、高い天井までをフラットに使うことができる。助手席も同様に畳むこともできるし、背もたれだけ畳めば小さなサイドテーブルのようにもなった。まさに機能性重視の仕様というわけだ。

 横浜のみなとみらい周辺を走る試乗コースでは、一般道を中心に走ることができた。

 開発コンセプトを「積む、運ぶ生活に安心と楽々を、頼れる優しい相棒」としていたが、まさにそのとおりだった。64馬力/162Nmはガソリン仕様のN-VANターボのパワーと同等、トルクはEVのほうが約60Nm多い。と、紹介をしておいて数値では表せない魅力がN-VAN e:では散りばめられ整えられていたのだ。

 走り出しの加速の滑らかさは電気的なEVの“蹴り出し”感とは異なる。しかし、加速性能は十分だし、アクセルやブレーキ操作に対するリニアな加減速のしやすさも整えられている。そのうえ、バッテリー搭載車らしい重さを味方につけた安定感と質量感を乗り心地のよさとともに感じられた。EVとはいえ商用車バンだからとあまり静粛性や乗り心地に過度な期待をしていなかったのが申し訳ないほど静粛性も高い。

 荷物に配慮すれば、スポーツカーのようなキレキレな機敏さは不要であり、だからといって背の高いモデルで想像しがちなロールが大きいわけではない。ハンドルは軽めで操舵量はそれほど多くなく、交差点もカーブもシットリ&しなやかに走る。「褒めすぎ?」と思われるかもしれないが、本当だ。

 特徴といえるのがブレーキ。電動サーボブレーキを採用していて、作動はバイワイヤーで電気的に行っている。電動サーボブレーキは減速エネルギーを多く回生できるだけでなく、バイワイヤーとの制御によってドライバーの思いのままの制動を得られやすかったのだ。さらに、Bレンジの制御がお上手だった。勾配のきつい坂道を選びアクセルを緩めると頼もしい減速度が得られる。ちなみに荷物の積載状態によって適切な減速が得られるという。

 試乗時、大人4人乗車で250kgくらいの重量だったのだけど、アクセルを乱暴に緩めても大きなショックは発生せず、そのあたりのマネージもされているようだった。回生ブレーキはバッテリーがフルの状態では利かないこともあるが、N-VAN e:は油圧ブレーキを作動させ通常と同じ減速度を確保しているというから、バッテリーの状態でクルマの状態が変わることなくドライバーは運転ができるのもいい。

 最後に進化ぶりを実感できたコネクト機能にも触れておきたい。ホンダではホンダトータルケアをというサポートプログラムがある。こちらを登録しておけば、たとえば自宅で充電ポートを差し込んだ状態であれば出かける前にバッテリーを温めておくことで、貯めたバッテリーを使って走りながら温めるよりも、冬場の航続距離の低下を抑えることもできる。また、EVカーナビをNAVITIMEとともに開発し、クルマと地図、ルートが繋がり、走行中のバッテリー残量や充電マネージメント(案内など)を行ってくれるアプリがこの冬にも登場するという。

 荷物にも人にも優しいEVバンのN-VAN :eはプロドラバーのストレスのみならず快適さも研究し走りや装備を搭載したモデルとして登場し、それは一般ドライバーにとっても使いやすく走りやすいモデルだった。「田舎なら4WDや軽トラ需要もあるのでは?」と質問してみたが、いまのところそれらの登場予定はないそうだ。

【動画】飯田裕子さんによるN-VAN e:試乗インプレッション動画を見る


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