よく聞く「海外専売の日本車を国内導入して」の声! パッと見売れそうだけそうはいかない理由とは (2/2ページ)

日本車の海外専売モデルが海外専売になっている理由

 筆者は南カリフォルニアでレンタカーを借りて運転するのだが、そのときにはトヨタ・カムリサイズぐらいが排気量やボディサイズ的には手ごろで便利に使っている。しかし、日本国内でカムリといえばボディサイズが大きくて、あくまで筆者の私見なのだが、日本国内でもて余してしまう人も多いように見える。

 日本よりもUターンする機会も多い南カリフォルニアで「カムリサイズでも小まわりがよくきくなぁ」と思っていても、それはアメリカの道路サイズが大きいからそう感じてしまう部分も大きい。

 日本車でありながら海外専売モデルとなっているのは、やはりそれなりの「訳アリ(あくまで悪い意味ではない)」となっているのであり、海外でよく売れているからといって日本でもよく売れるというわけでもないのである。

 たとえば北米市場ではミニバンの代わりともいえるが、3列シートをもつクロスオーバーSUVがファミリーカーの標準となってきている。トヨタ・ハイランダーやホンダ・パイロットという、日本では販売されていないモデルが3列シートをもつクロスオーバーSUVとしてよく売れているが、日本ではそれらのモデルへのニーズは、トヨタ・ノア&ヴォクシー、日産セレナ、ホンダ・ステップワゴンあたりのミニバンが吸収しているので、当然ながら北米ほどの販売は期待できないものと筆者は考える。

 開発や生産コストを考えれば、世界各国や日本市場も含め「グローバルワン」、つまり共通スペックが望ましいのだが、それこそ世界は広いので結果的に大筋ではグローバルワンとなるが、搭載エンジンなどについても個々の市場で異なることもよくある。

 前出のスイフトでは、日本仕様ではガソリンエンジンとガソリンエンジンベースのハイブリッドエンジンを搭載しているが、インドのスイフトではガソリンのみを燃料とするものと、ガソリン+CNG(圧縮天然ガス)となるエンジンの2種類がラインアップされている。

 トランスミッションは日本ではMTとCVTが用意されるが、インドではMTとAMT(自動クラッチの2ペダルMT)となっている。CVTのようなセンシティブなものは、クルマをかなり酷使するインドでは適当ではないとの話も聞いており、コストや現地ユーザーの嗜好性なども考慮してAMTが採用されているようである。

 日本車なのに海外でのみ販売されていると、ついつい「ないものねだり」のようなものもあり、「いいなぁ」となりがちだが、日本国内で単に売れそうにないという以外の理由もあってラインアップされないのである。

 また、グローバルモデルをそのまま日本市場にもち込むのではなく、ボディサイズを変えるなど同じモデルでも、一歩踏み込んで日本の消費者に合わせた専用設計になっているケースもあり、その点では日本以外の国のメーカーより目立つので、そこが日本メーカーならではの細かい配慮と表現することもできるだろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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