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元町工場の意味は原点を大切にする「もと町工場」だった! エンジン車もハイブリッドもEVもFFも4WDも同じラインで生産する「現在より未来」を見据えた取り組みに感動 (1/2ページ)

元町工場の意味は原点を大切にする「もと町工場」だった! エンジン車もハイブリッドもEVもFFも4WDも同じラインで生産する「現在より未来」を見据えた取り組みに感動

この記事をまとめると

■トヨタ自動車の元町工場に潜入

■9車種を混同して生産して生産の効率化を図っている

■工場内では水素を使ったフォークリフトなども活用されている

トヨタの元町工場に潜入!

 自動車工場の製造ラインといえば、同じ車種が整然と流れる光景を思い浮かべるかもしれません。しかし、トヨタの元町工場では、ガソリン車、ハイブリッド車、EV、FCEVがひとつのラインを次々と流れていく、驚きの生産システムが展開されています。トヨタの原点と未来が交錯するこの場所で、どのような工夫がなされているのか。その一端に触れる機会を得ました。

 自動車の製造工程をご覧になったことはありますか?

 クルマ好きの方であれば、「プレスされ、ボディが組み立てられ、塗装が施され、さらに細かな組み立てが続いていく」という一連の流れが、長いライン上で進行していくイメージを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

 筆者もまさにそのイメージを抱いていましたが、今回訪れたトヨタ自動車の「元町工場」では、少し変わった光景となっていました。それは、同じライン上を、ガソリン車、ハイブリッド車、EV、そしてFCEVが次々と流れてくるといった点です。

 車種や駆動方式が異なるだけでなく、プラットフォームや「心臓部」もまったく異なる車両がひとつのラインで混合して製造されている様子は、なんとも不思議な光景。

 従来の製造ラインでは、通常は同じ車種のみが流れていくものと思っていただけに、この現場は筆者にとって新鮮であり、非常に印象深いシーンでした。

 今回訪れたのは、トヨタ自動車の「元町工場」。この「元町工場」という名前には、由来があります。もともと小さな町工場からスタートしたこの工場には、「元・町工場(まちこうば)」という名のとおり、トヨタの創業の原点を大切にし、未来への発展の「元」となり続けたいという思いが込められているとのこと。

 元町工場は、1959年8月に操業を開始し、アジアで初の乗用車専用工場として歩み始めました。そのピーク時は1990年で、年間生産台数44万台を誇り、当時はクラウンを一貫して生産していた工場でもあります。現在もトヨタの発展の基盤を支える一方で、新たな挑戦にも積極的に取り組んでいます。

 その一例が、冒頭で触れた「9車種混流ライン」です。通常、同じ車種が流れるラインとは異なり、元町工場では、駆動方式やモデルが異なる複数の車種を同じラインで混流して生産しています。同規模の工場であれば通常、年間生産台数は20万台規模となるところですが、元町工場の生産台数は16万台程度にとどまっています。その理由は、効率を優先するよりも「新しい生産方式を実証し、改善を重ねる」ことを重視しているためです。

 筆者が工場を訪れた際も、ミニバンのノアが流れてきたかと思うと、OEM生産しているスバルのソルテラが続き、その後にはクラウンが流れてくるという具合に、9種類の車種が同じラインを流れていました。まさに「マルチパスウェイ」を具現化したシーンです。

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