発表当時はクルマのデザインが来場者の間で話題になった
そうした熱心なファンからすると、COMOという伝説級コンセプトカーの名前がOEMの商用バンに使われてしまったのは、微妙な気もちになってしまうかもしれない。逆にいえばCOMOという量産車があるからこそ、V12エンジン搭載コンセプトカーを思い出すことができるのかもしれないが……。
ところで余談だが、1991年の東京モーターショーにはCOMOのほかにもラウンドフォルムのコンセプトカーが何台もお披露目されていた。
スズキ・スプライは1.6リッターエンジンをミッドシップに搭載したライトウェイトスポーツカーのコンセプトで、もう少し現実的な量産性を感じさせるスタイルだった。
さらに、来場者の一部で「この2台は似ていないか」とCOMOとセットでウワサになったのが三菱HSR-IIIだ。フロントに1.6リッターV6エンジンを積んだ空力追求デザインがコンセプトのHSR-IIIは、その構造からパッケージはCOMOとは似ても似つかないものだが、丸っこさとスポーティさを両立したフォルムや楕円の吊り目ヘッドライトが生み出す表情は、たしかに似た部分もある。
もっとも、モーターショーのコンセプトカーには、こうしたわかりやすい未来のカタチを求めるというのが当時のトレンドであったことを考えれば、少々似てしまうのは仕方がない。
ところで、最近のいすゞは普通免許で乗れるトラック「エルフミオ」のオンライン販売を手がけるなど、2020年代になって一般ユーザーにリーチしようとしている節がある。そのためにはイメージリーダーとなるコンセプトカーを作ることにはブランディング的な意味はあるだろう。
はたして、今後のジャパンモビリティショーにて、かつてのCOMOのようなインパクトのあるコンセプトカーを出品するのかは不明だが、いまの流れを受けて考えると、一般ユーザーが興味をもつようなコンセプトカーの誕生に期待したい。