冬はクルマのバッテリーの「突然死」が急増! 交換の際は複雑化している「種類」を要チェック!!

この記事をまとめると

■自動車の補機バッテリーにはいくつか種類が存在する

■通常タイプ以外にもトヨタのハイブリッド車専用やアイドリングストップ車専用まである

■軽量でコンパクトなドライバッテリーやリチウムイオンバッテリーもあるがまだ高価

弱っていると感じたら冬が来る前に交換が吉

 立冬を過ぎて、本格的な冬が近づいてきた。寒さが厳しくなると、バッテリーの化学反応が鈍くなるので、バッテリー容量が減少し、充電効率も低下する。そのため、バッテリー上がりが増えるのが常だ。

 できればその前にバッテリーを交換しておきたいところだが、補器用のバッテリーにはいくつかの種類があるので要注意。

●通常タイプ(JIS規格)

 もっとも一般的なのは「46B24R」などと表記されている通常車・充電制御車用バッテリー。「46」が性能ランク・容量、「B」がバッテリーの短側面のサイズ、「24」がバッテリーの長さの寸法、「R」が+−端子の極性位置を表している。

 新しいバッテリーを購入するときは、性能ランクだけは純正と同等以上にして、あとのサイズは変えないのが基本。

 この通常タイプも細かくわけると、開栓型と密閉型の二種類がある。開栓型はバッテリー液が減ってきたときに補充できるタイプ。密閉型はバッテリー液の補充が不要なメンテナンスフリータイプ。最近は後者のバッテリーが主流で、開栓型でも補充が必要になる前に、バッテリーの寿命(3~4年)を迎えるケースがほとんどだ。

●VRLA/制御弁式バッテリー

 トヨタ系ハイブリッド車の補機用バッテリーのこと。トヨタ系ハイブリッド車の補器用バッテリーは、車室内やトランクルームに設置されているのが大半。

 車内にバッテリーがあるので、これらのクルマには、バッテリー内部で発生するガスを外部に漏らさない特殊な構造のVRLA/制御弁式バッテリーを採用している。バッテリーの構造が違うため、通常車用バッテリーとは互換性がないので要注意。

 見分け方として、このタイプのバッテリーの型式名には、通常車(JIS規格)の型式の最初に「S(Sealedの頭文字)」がついているのでここで判別すればいい(例:「S46B24R」)。

●アイドリングストップ車用バッテリー

 頻繁にエンジン停止と再始動を繰り返す、アイドリングストップ車用のバッテリー。通常車のバッテリーより、耐久性や充電性能が高いのが特徴。

 形式も、電池工業会規格(SBA S 0101:2006)が定めた新しいもので、「Q-85R」といった表記になる。

●ハイブリッド車用補機バッテリー

 ハイブリッド車には動力用バッテリーのほかに、ガソリン車と同じくECUやオーディオ、ナビなど電装品を動かすための補器用バッテリーが搭載されている。

 これらは、前記のトヨタ用のVRLA/制御弁式バッテリーをはじめ、日本車用専用EN規格バッテリーや欧州車用(EN・DIN規格)バッテリーが使われていることもある。

 EN規格(欧州統一規格)とは、ヨーロッパで作られた世界標準になりつつある規格で、国産車でも採用するクルマが増えてきている。

 そのほか、電極にバッテリー液が染み込むように充填し、セルごとに密閉したドライバッテリーや、リチウムイオンバッテリーなども登場。

 どちらも軽量コンパクトで、モータースポーツやチューニングカーでは、注目されているが、高価であるためまだまだ普及はしていない。

 ちなみに、近年、バッテリーの原料となる鉛の価格が高騰し、自動車用バッテリーも4年前に比べ、2倍近く値上がりしている!

 とはいえ、バッテリーの交換タイミング=平均寿命は3~4年といわれている。最近のバッテリーは高性能化しており、寿命の後半になっても劣化の症状が現れず、突然死に至るケースが多いので、3~4年使用したバッテリーは、本格的な冬を迎える前に、カー用品店などで専用のテスターを使って点検を(無料)。

 そして、弱っていることが判明したら、迷わず交換。「タイヤとバッテリーだけはケチってはいけない」というのが、メンテナンスの達人たちの共通したアドバイスだ。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

愛車
日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
趣味
-
好きな有名人
-

新着情報