雲の上の存在のF40が普通にみえる! フェラーリスタに衝撃を与えたF40コンペティツォーネの正体 (2/2ページ)

永遠で究極なスペチアーレ「F40コンペティツィオーネ」

 F40コンペティツィオーネのエクステリア、そのアピアランスはまさにレーシングカーのそれだ。ボディの前後には大型のカーボン製追加スポイラーが与えられ、フロントカウルにはラジエター冷却を終えたあとのエアを効率的に排出するためのエアアウトレットを装備。ヘッドライトもリトラクタブル式から丸型4灯の固定式に変更され、さらにボディの各部には冷却用のエアインテークが多数新設されている。

 フェンダーがワイド化されていることは、フロント側ではドアパネルとの間に設けられたスリットの幅でそれを認識することが可能。ウインドウがプレクシグラスに変更されていることや、OZ製17インチ径ホイールとスリックタイヤの組み合わせなども、F40コンペティツィオーネならではの独自のディテールだ。

 ドライバーズシート側のサイドビームを跨ぎ、フルバケットシートに身を委ねると、周囲に広がるのはスタンダードなF40以上にスパルタンな景色だ。正面にはマルチディスプレイがレイアウトされ、その視認性は抜群。

 5速のドグミッションを操作するためのシフトノブはこれも軽量なデルリン材を使用したもので、走りに関連する以外の要素は、およそこのF40コンペティツィオーネのキャビンのなかにはない。

 ミッドに搭載されるエンジンは、F120B型と呼ばれるもので、2936ccのV型8気筒DOHC+ツインターボという構成に変更はない。

 ただし、組み合わされるIHI製ターボのタービンやインタークーラーはさらに大型化され、最大過給圧も1.1バールから2.5バールへと引き上げられたため、最高出力はスタンダードモデル比でじつに302馬力アップの780馬力という数字になった。

 さらに、車重も同様の比較で1114kgから1050kgにまで軽量化されたこともあり、その運動性能は大幅に向上している。参考までに最高速は、フェラーリの公称値によれば370km/hとされる。

 フェラーリ、そしてスポーツカーレースにおいて、フェラーリのセミワークス的存在であったミケロットとの共同開発によって誕生したF40コンペティツィオーネ。それは永遠に究極のスペチアーレとして語られる一台であることは間違いないだろう。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
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