もはやフォーミュラのハイパースポーツ「F ZERO」
そのロダンが、現在セールスの主軸においているのは、「F ZERO」と呼ばれるフォーミュラーカー風のハイパースポーツだ。レースのレギュレーションにも、そしてもちろんオンロードでのさまざまな規制にも左右されない、自由なデザインとエンジニアリングで完成されたそれは、見た目にもダイレクトに速さを感じさせるもの。
全長が5500mm、全幅が2260mmというボディは、もちろん軽量なCFRP素材で成型されたもので、フロントとリヤ、そしてフロアウイングには大型のエアロダイナミックパッケージが装備されている。ダウンフォースの最大値はじつに4000kg。最高速の360km/h付近での安定感は、このダウンフォースによって高いレベルに導かれている。
ミッドに搭載されるエンジンは、「ロダン RC.TEN」と呼ばれる、4リッターのV型10気筒ツインターボ。これにエレクトリックモーターをクランクシャフトに直結し、さらなるエクストラパワーを得る。
鍛造アルミニウム製のシリンダーブロックおよびヘッド、鍛造アルミピストン、スチール製のクランクシャフトを有し、燃料供給は200barの燃料圧システムによる10本のダイレクトインジェクターによって行われる。潤滑方式はもちろんドライサンプだ。
V型10気筒エンジンの最高出力は1013馬力。最大トルクは700Nmと発表されており(これにエレクトリックモーターの174馬力が加わる)、このエンジンはロダンとリカルドの共同開発によるドグクラッチ式の8速セミオートマチックミッションと組み合わされる。
ギヤシフトはパドルによって実行され、シフト時にはオートスロットルブリップ、点火カットなどの制御も入る仕組みだ。また、クラッチは4プレートのカーボン製とこちらも耐久性に優れる。
サスペンションは前後ともにダブルウイッシュボーン、プッシュロッド式コイルオーバーというデザインで、軽量な結合チタンやカーボンアームを積極的に使用するなど、バネ下重量の低減には相当に意欲的だ。ホイールはOZレーシング製だ。
ロダンによれば、このF ZEROを購入したカスタマーには、さまざまなサーキット体験プログラムが用意されているという。ロダンのテストコースでのトレーニングプログラムのみならず、カスタマーの希望によってはワールドクラスのサービスを提供することも可能だ。それは走りにこだわるエンスージアストにとって、非常に魅力的な選択、そして経験となることは確かなところだろう。