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整備のときこそ新車セールスのチャンス! アメリカで見られる「魅力的な代車」事情

整備のときこそ新車セールスのチャンス! アメリカで見られる「魅力的な代車」事情

この記事をまとめると

■アメリカには車検がない代わりに自己責任で愛車の状態維持を行うことになる

■近年は電動化の影響でディーラーにもち込んでのメンテナンスが一般的となった

■シャトルバスや代車を用意しているディーラーも多い

ハイブリッドの普及でアメリカの整備事情はさま変わり

 日本では厳格な法定点検制度が存在する。その代表が2年ごと(新車なら初回は3年)の車検である。よく「車検は高い」といわれるが、車検はあくまで検査であり検査料のみで済むのでけっして高額ではない。新車ディーラーではその検査に加え、法定点検・整備も同時に行うので、「ディーラー車検」として別格に扱われることも多い。要は、「ディーラーへ車検に出す=点検・整備もされる」ことになり、お任せにしておけば、ありとあらゆる油脂類の交換なども行われてしまい、結果的に「高い」となっているのである。

 一方、南カリフォルニアは初度登録から3年、一般的には2年ごとの「スモッグチェック(排気ガス検査)」が義務付けられているのみとなる。そのため、「自家整備(自分で日々整備すること)」というものが定着している。日本のような車検がない代わりに、自己責任で愛車のコンディション維持を行うことになる。フリーウェイ走行時に故障し、道路脇に放置すればたちまち高額罰金による取り締まりが待っているのである。そのため、かつては自宅ガレージでオイル交換など「クルマをいじる」風景も当たり前で、高校のカリキュラムでも、自動車整備が用意されていたりした。

 あくまで伝聞だが、交換のためエンジンから抜いた使用済みオイルをそのまま道路の側溝に流すのも当たり前だったようだが、さすがに近年では環境問題の深刻化からそんなこともできなくなった。そもそもエンジンの電子制御化が進むなか、ハイブリッドなどの複雑なものも登場して自家整備が事実上できなくなると、日本でいうところのメンテナンスパック(一定期間内の点検・整備や油脂類交換費用を前払いすることで得になるといわれるもの)が、アメリカでは新車価格に標準付帯されるようになったそうである。

 そして、購入したディーラーにもち込みメンテナンス管理を行うことが一般化した。ディーラーとしても激しい値引き合戦が当たり前となり、新車販売で得る利益はまさにカスカス状態なので、メンテナンス(標準付帯メニュー以外の作業を推奨することで効率的により高い利益が見込める)に軸足を置くようになっている。

 とはいえ、日本以上にクルマが日常生活の足となっているのが南カリフォルニア。点検・整備作業は日曜休業が当たり前。となると土曜日は混雑してなかなか予約が取れないし、平日に足を運べない人も出てくるだろう。そこで、南カリフォルニアの新車ディーラーでは、早朝7時あたりから、つまり出勤前に点検車両を預けられるようにしている。そして、クルマを預けたお客をオフィスへ送り届けるために、シャトルバスを用意するのも一般化している。

 そして夕方になると迎えに行ってディーラーで点検・整備済みの自分のクルマに乗り換えてもらうのである。さらにはかなり多くの代車を用意するディーラーもあり、預けたディーラーとオフィスの間の移動に使ってもらうのである。

 写真は某所のメルセデス・ベンツディーラーの代車だが、どのブランドディーラーでもたいていリヤガラス上部にディーラー名と代車であることが記されている。ここでは、商用車となるスプリンターの代車も用意されていた。日本でも新車への乗り換え促進のためもあり、新車での代車を積極的に用意して貸し出すメーカー系ディーラーも目立ってきているが、南カリフォルニアではそれがさらに一般化しているのである。

 日本では高級ブランドなのに代車は別ブランドのコンパクトハッチバックのレンタカーを用意するところもあると聞いているが、南カリフォルニアでは、それなりに廉価モデルになるものの、必ず自ブランド車で代車が用意されるのが当たり前というのも、日本との違いといえるかもしれない。

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