「ガソリンはパワー型」「ディーゼルはトルク型」といわれるのはナゼ? 同じレシプロエンジンなのに特性に違いが出る理由を考えてみた (2/2ページ)

ピークパワーがガソリンエンジン以下の理由

 同じ排気量であってもガソリンエンジンよりディーゼルエンジンのほうがトルクフルなのは、軽油の高い発熱量と、ディーゼルエンジンの高い膨張比という要素によるものといえる。さらにディーゼルエンジンは燃料の自己着火による燃焼が特徴で、そうした構造もトルクの太い特性につながっているといえる。

 では、このように内燃機関としての素性に優れているはずのディーゼルエンジンが、ピークパワーにおいてガソリンエンジンに劣ることが多いのはなぜだろうか。それはご存じのように、「パワー=トルク×回転数」によって生み出されるためだ。

 量産車に載せられるようなディーゼルエンジンに共通するウィークポイントは、常用できる回転域が狭い(低い)こと。前述したランドクルーザーのエンジンスペックを見てもわかるようにディーゼルエンジンは圧倒的に低回転キャラとなっている。

 このあたりはセッティング領域にもなってくるため、完全にディーゼルエンジンの特性に関する話とはいえない部分もあるが、結果として低回転域でのトルク特性を活かすために、高回転を使わないエンジンに仕上げていることが、冒頭で記したような「発進時にトルクフル」というディーゼルエンジンの印象につながっているといえる。

 また、ここでサンプルに用いたランドクルーザーのエンジンはいずれも過給エンジンとなっているが、マツダのラインアップではガソリンエンジンがNA(自然吸気)で、ディーゼルエンジンはターボで過給されているというケースもある。そうなると、過給されているぶんだけディーゼルエンジンは、より一層トルクフルな印象が強くなっている傾向もあるだろう。

 ただし、ドライバーが感じる発進トルクには変速機に与えられたギヤ比の影響もある。ローギアードであるほど発進加速は鋭く感じる部分もあるため、同モデルでの比較においてはエンジン特性だけで結論づけることのできない難しさもあることは留意しておきたい。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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