モノコック全盛だがラダーフレームにしかない利点もある! クルマのボディ構造とメリデメ (2/2ページ)

モノコックとラダーフレームを融合したビルトインラダーフレーム

 さて、オフロード走行に有利なクロスカントリー4WDには専用シャシー構造が合うと説明したが、モノコックボディに独立した専用シャシー(フレーム)を接合する「ビルトインラダーフレーム」と呼ばれる構造があり、これをクロスカントリータイプの4WD車が採用してきた例がある。ちなみにラダーフレームとは、独立したシャシー構造の基本となる形状で、文字どおり「ハシゴ型」のフレームのことだ。

 積極的にビルトインラダーフレームを採用したモデルとしては、3代目の三菱パジェロを挙げることができる。ビルトインラダーフレームの長所は、モノコックボディ構造に対して車体剛性、強度が高くとれる点にある。なんといっても、車体はモノコックボディ単体として成立するレベルの車体剛性、強度をもちながら、路面からの瞬間的な大きな入力に対してサスペンションを堅固に支持し、その動きを設計値どおりに発揮できる点にある。

 通常、モノコックボディを採用するモデルでは、剛性、強度の想定に連続したラフロード走行は含まないが、ビルトインラダーフレーム方式は、独立した専用シャシーをモノコックボディと組み合わせることで軽量化、高剛性化、高強度化を図り、ラフロードの走行を想定内に入れている。

 パジェロは、もともと商業車から発展した独立フレームをもつモデルとして企画されたが、3世代目に発展する際、軽量、高強度な車体の実現を目指してビルトインラダーフレームの構造が採られるようになった。その大きな理由のひとつとして、競技での活躍を期待して、という要素があったという。

 パジェロといえば、あの過酷なマラソンレイド、パリ〜ダカール・ラリーでの活躍が思い浮かぶが、量産車クラスでの好成績を狙い、それまでの独立フレーム方式からモノコックボディと一体化したビルトインラダーフレーム構造に変更されたという。ちなみに、総合優勝で知られるパジェロは完全なプロトタイプで、量産車との共通点はそのボディデザインぐらいといえるほど、競技に特化した構造の車両だった。

 独立したシャシー構造の車両とビルトインラダーフレーム構造の車両は、外観を一見するとまったく変わりはないが、独立したシャシーをもつ車両はシャシーと車体を何本かのボルトで固定していることに対し、ビルトインラダーフレームはモノコックボディとフレームを溶接で接合して一体化。より軽量、高剛性の筐体を実現できる特徴がある。

 このビルトインラダーフレーム方式を、生産・製造するメーカーの立場から見ると、車体の生産工程が増え、コスト的にも割高となり、単純にモノコックボディ方式と比べると不利になるのだが、その利点である高強度、高剛性を軽量に仕上げられる点を優先し、生産車の構造として採用した。

 この方式を採用した生産車は、三菱パジェロ(3代目、4代目=最終型)、トヨタ・ラッシュ/ダイハツ・ビーゴ、スズキ・エスクード(3代目)、日産テラノ(2代目)などが挙げられるが、現在はほとんど見られない状況だ。


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