250はディーゼルを選択すれば間違いなしだが300は……
この点を踏まえてランドクルーザー250のエンジンを比べると、ガソリンは避けたい。動力性能が不足するからだ。直列4気筒2.7リッターでターボを装着しないため、最高出力は163馬力(5200回転)、最大トルクは25.1kg-m(3900回転)に留まる。この性能では、2240kgの車両重量に組み合わせるにはパワー不足だ。それでも街なかの平坦路だけを走るなら支障はないが、ランドクルーザー250なら高速道路や峠道の登り坂も走るだろう。そうなると物足りない。
直列4気筒2.8リッタークリーンディーゼルターボは、最高出力が204馬力(3000〜3400回転)で、最大トルクは51kg-m(1600〜2800回転)。後者はガソリンの約2倍だ。ATもガソリンの6速に対して、ディーゼルは8速だから動力性能を有効活用できる。
ディーゼルのWLTCモード燃費は11km、ガソリンは7.5km/Lだ。後者は重いボディに対して、エンジンの負荷が大きいから燃費でも不利になる。さらに、軽油価格もレギュラーガソリンに比べて1リットル当たり約20円安いから、ディーゼルであれば燃料代もガソリンの約60%に抑えられる。その代わりディーゼルを搭載するVXの価格は、ガソリンのVXよりも85万円高いが、ディーゼルには価格差以上の魅力が備わる。
一方、ランドクルーザー300は、V型6気筒3.5リッターガソリンツインターボが主力で、V型6気筒3.3リッタークリーンディーゼルツインターボは2グレードのみの設定だ。
ガソリンとディーゼルの両方を選べるZX同士で比較すると、ガソリンの最高出力は415馬力(5200回転)、最大トルクは66.3kg-m(2000〜3600回転)になる。ディーゼルは309馬力(4000回転)・71.4kg-m(1600〜2600回転)だ。
最高出力はガソリンが上まわり、高回転域の吹き上がりも活発で、ディーゼルは実用回転域の駆動力が勝っている。悪路ではディーゼルが使いやすく、ランドクルーザーの性格にも合うが、エンジンの選択は使い方と好みに応じて判断したい。WLTCモード燃費はガソリンが7.9km/L、ディーゼルは9.7km/Lだ。
なお、ZXの場合、ガソリンは3列目のシートを備えた7人乗りで、ディーゼルは2列の5人乗りになる。かつてのランドクルーザーには、ガソリンは3列シートのワゴン、ディーゼルは2列のバンという時代があり、開発者によるとその組み合わせを踏襲したという。
価格をZX同士で比べると、ガソリンが730万円でディーゼルは760万円だ。機能と価格のバランスで判断すればガソリンが割安だが、ランドクルーザー300は上級SUVだから、前述の通り使い方や好みに応じて選びたい。