この記事をまとめると
■道路上の路面標示は車両の通行などによって見えないほど劣化する場合も多い
■路面標示は場所や種類でそれぞれ管轄がわかれている
■電話などで修繕を相談しても場所や予算などの都合からすぐ直る保証はない
すり減って見えない路面標示の修繕は誰にいえばいい?
アスファルトで舗装された道路上には、白や黄色のさまざまな路面標示が引かれている。代表的なのは横断歩道や停止線だろう。そのほかスクールゾーンを示す標示や十字の交差点マークなどもドライバーの注意喚起に役立っている。
とはいえ、路面に引かれた各種の標示はタイヤによって表面がはがされ、徐々に薄くなっていくものだ。ほとんど見えないくらい放置された横断歩道を見かけることもある。さすがに、こうした状態を見れば修繕をすべきだと思うのがスマートなドライバーだろう。
では、薄くなってしまった路面標示の修繕については、どこに連絡・依頼すればいいのだろうか。
ひとまずは警察に連絡してもいいだろうが、じつは路面標示については道路法によるものと道路交通法によるものの2種類があり、それぞれ管轄が違っていたりする。
結論からいうと道路法による表示は道路管理者、道路交通法による表示は公安委員会(警察)がそれぞれ設置と管理の担当となっている。
道路交通法による表示として主なものは、前述した横断歩道や停止線、また一時停止を示す「止まれ」の文字や、速度規制を示す数字などがある。横断歩道の予告表示であるひし形のダイヤマークも公安委員会が設置しているものだ。
つまり、これらの路面標示が薄くなっていて円滑な交通を妨げているようであれば警察に連絡することになる。
一方、スクールゾーンを示すものなど道路法による路面標示について設置および管理をしている道路管理者というのは非常にわかりづらい。国道の路面標示であれば国土交通省の該当地域における国道事務局が連絡先になる。一部の国道や都道府県道については都道府県の土木事務所が担当となっている。
当然ながら、市町村道であれば市町村の役場が連絡先となる。そのほか高速道路では各地のNEXCOに連絡することになる。ちなみに、減速を促すドットや矢印などの路面標示も道路法に基づくものであり、道路管理者によって設置されているものだったりする。
わかりづらいのは路肩などを示す車道の外側にある線だ。歩道がある場合に車道外側に引かれる線は道路管理者の管轄であるが、歩道がない道において歩行者が通行するための路側帯を示す線については公安委員会(警察)の管轄だったりとややこしい。
そして、路面標示の修繕を連絡したからといってすぐに直るとは限らない。どうしても優先順位と予算などの関係があるためだ。残念ながら、プライオリティの低い場所ではいつまでも標示がハゲかけたままということもあり得る。
法律の問題と道路管理者の兼ね合いがあるため、路面標示の管理がこのように縦割り的になってしまっているのは仕方がないことではあるが、より安全な道路環境を実現するべく、行政の垣根を超えたワンストップサービスの誕生に期待したい。