この記事をまとめると
■「ゲームボーイ」という機械による自動車盗難の手口が話題になっている
■鍵を紛失した際に合鍵を作る装置が「ゲームボーイ」に似ていることからそう呼ばれる
■対策するのが困難なので社外セキリュティなどに頼るしかないのが実情だ
ゲーム機でクルマが盗めるってなんだそりゃ
古代エジプトでピラミッドの建設がはじまると、墓荒しの窃盗団も、そのピラミッドに向けて盗掘用のトンネルを掘りはじめるという話を聞いたことがあるが、自動車メーカーが盗難対策を施せば、自動車盗難の手口も高度化してくる歴史がある。
そうしたなかで、今年の春ごろから話題になってきたのが、「ゲームボーイ」と呼ばれる手口。
ゲームボーイは、平成元年に任天堂が発売した携帯型ゲーム機として有名だが、もちろんゲーム機で、クルマが盗めるわけではない。
※画像はイメージ
車両盗難に用いられるゲームボーイとは、スマートキーを紛失したときのための複製ツールを悪用したもの。ドアを開けようとした際などに発せられる微弱の電波をつかんで瞬時に合鍵を作るシステムで、正式名称はキーエミュレーター。その端末が、任天堂のゲームボーイに似ていることから、「ゲームボーイ」の俗称がついた。
本来は、スマートキーが故障したり紛失してしまった場合に、メーカーや鍵の専門業者が複製を作るために開発されたもので、欧州の企業が開発・販売している。
特殊な機械ということもあり、相場的には2万5000ユーロ~3万7000ユーロ(414万円~612万円)とかなり高額なので、コソ泥レベルではまず入手できないが、組織化されたプロの窃盗団はこれを使いだしている。
「ゲームボーイ」を使うと、クルマにほとんど触れる必要がなく、車体にまったく傷をつけずに、短時間にスペアキーを作って盗み出せるので、最恐のハッキングツールとして恐れられていて、自動車メーカーの純正セキュリティでは防ぎようがないのが現状だ。
したがって、ゲームボーイによる盗難を防ぐには、
●社外品のセキュリティを専門店でインストールする
●「AirTag」などGPS機能を使ったデバイスを隠しておく
●車両保険に加入しておく
●ハンドルロック・タイヤロックなど物理的な防犯装置を併用する
といった対策を施しておくことが肝心。
自分は大丈夫、ウチの地域は大丈夫と油断しないことが、一番重要になるだろう。