この記事をまとめると
■5代目トヨタ・カローラのハッチバックモデルとして発売された「カローラFX」
■トップグレードには4A-Gエンジンが搭載されるスポーティカーだった
■日本では人気を得ることができず3代目で終売するも欧州での人気は高かった
FF・2BOX初のDOHC搭載モデル
セダンにワゴン、ハッチバックにクロスオーバーSUVと、幅広いバリエーションを誇る現行型のトヨタ・カローラ。ただ、カローラの基本形ともいえるセダンはやや不人気で、街なかで見かける率は低めというのが現実だ。
とはいえ日本国外では事情が違うようで、北米地域ではカローラセダンをベースとした特別モデルがラインアップされている。
それが「FXスペシャルエディション」というもので、カローラセダンをベースにリヤスポイラーや切削とサテンブラックカラーの18インチアルミホイール、そしてローダウンスプリングを標準装備し、スポーティな仕上がりとなっているのだ。
そんなFXスペシャルエディションについて、北米トヨタのリリースには「1987年にデビューしたカローラFX16と同じ名前」と記されており、日本では1984年に登場した「カローラFX」がオマージュもととなっている。
1984年にカローラシリーズに追加されたカローラFXは、レビン/トレノ以外が前輪駆動レイアウトに生まれ変わった5代目カローラをベースとしたハッチバックモデルで、車名の由来は「FF・2BOX」から文字をとったもの。
当時はFF・2BOXスタイルのシビックが人気を博していたことから投入されたモデルで、トップグレードのGTには4A-G型エンジンが搭載されていたが、これは日本車の2BOXタイプの乗用車としては初めてDOHCエンジンを搭載したグレードとなっていた。
ちなみに北米における「FX16」は、このツインカムエンジンを搭載したグレードとなっており、その名前を冠したモデルがスポーティな仕様になっているのも納得といえるだろう。
そんなカローラFXは、1987年に2代目へとフルモデルチェンジ。基本的にはキープコンセプトで、4A-G型エンジンを搭載するGTグレードも継続設定されていた。
ただホットモデルはまだしも、実用的なハッチバック車としてはすでにスターレットやターセル3兄弟などが存在していたこともあり、日本では販売面で苦戦を強いられる。
そこで1992年に登場した3代目モデルは5ドアモデルを廃止し、エンジンもDOHCの1.6リッターのみというスポーティさに振り切った仕様に変更したのだが、ライバルのシビックだけでなく、兄弟車のレビン/トレノにも大きく差をつけられる結果となり、結局この3代目モデルをもって姿を消すこととなってしまった。
残念ながら日本では大人気モデルになることは叶わなかったカローラFXだったが、ハッチバック車の需要が高い欧州では人気モデルとなっており、彼の地では8代目カローラをベースとしたハッチバック車がラインアップされ、カローラWRCのベース車種になったのは多くの人が知るところである。