北米で2代目日産キックスがデビューもぶっちゃけ人気が今ひとつ! 原因は見た目や中身じゃなくて「ヘタな売り方」 (2/2ページ)

先代モデルとはガラリとさま変わり

 そのキックスの2代目のボディ寸法を見ると、先代モデル比で全長+67mm、全幅+40mm、全高+25mmとなり、搭載エンジンも2リッターエンジンに排気量アップされている。内外装ともに先代モデルより質感が向上し、とくにエクステリアは先代のようにエントリーモデルと感じてしまうほど素っ気ないデザインから、存在感のある先鋭的なものへと変貌を遂げた。

 日本仕様ではモデル途中からAWDが追加設定されたが、北米仕様ではFFのみであった。しかし、新型ではAWDが設定されており、今作はそこがクローズアップされていた。

 先代よりボディサイズがひとまわり大きいとはいえ、新型とほぼ同じサイズともいえるトヨタ・カローラクロスの2023暦年締めでの年間新車販売台数が7万1110台(月販平均約6000台)なのに対し、キックス(初代)は6万6823台(月販平均約約5568台)となっている。2023年12月単月の販売台数は、日本での2023暦年締め年間新車販売台数プラスアルファとなる1万6685台なので、日本市場より需要があるのは間違いない。

 2代目では先代がやや小さいとも思われていたので、新型でボディサイズとエンジン排気量の拡大を行うことで、より販売台数の上乗せをはかろうとしたのかもしれない。

 北米市場ではHEV(ハイブリッド車)の人気が高いなか、北米における日産車ではe-POWER搭載車は存在せず、その点ではハンデを背負っているともいえる。日本同様に北米で売れ筋となるローグ(エクストレイル)にも、当然e-POWER搭載車の設定はない。

 北米でもHEVの設定があるトヨタRAV4やホンダCR-Vには販売台数で及ばないところもあるようで、日産車はレンタカーとして大量に導入されていたり、金利の高いアメリカでキャンペーン金利とはいえ「0%特別金利」を設定して販売促進を行うなどしている。

 この状況を「乗ってみれば、レンタカーとして大量に貸し出されたり、0%ローンで投げ売りするのがもったいないと思うほど性能がいいのに残念」と事情通は語ってくれた。

 キックスも先代は、2022年においてはレンタカーとして多数用意される風景を目撃している。ただ、新型を見る限りは、安易なフリート販売や乱売を控えようとした作りこみを感じるのだが……。

「難しいのは、キックスとかローグなど個々の車種の話ではなく、日産は時期を見ては過大なセールスプロモーションをいままでも用意してきており、再販価値を心配する人が多いのが現状です。ブランド全体の再浮上というのがまずは先です」(事情通)。

 特別低金利ローンを繰り返し設定していると、それを期待して日産車へ乗り換える人ばかりが購入するという傾向も出てきてしまう。多くの人が「いいな」と思えるモデルが北米では揃いつつあるのだから、あとは売り方をどうするかということで、2代目キックスの北米での明暗もわかれてくるのではないかと考えている。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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