原油が採れる量の問題じゃない! 日本のガソリン価格高騰はほぼ「産油国の政治的思惑」によるものだった (2/2ページ)

原油価格の上下動は産油国の政治的な思惑などの影響を受けやすい

 こうしたなか、野党の一部からは、いわゆる「トリガー条項」の凍結によってガソリン等に係る税金の減額を提唱する声もある。

 では、なぜガソリン価格はここまで大きく変動するのか? 資源エネルギー庁では「ガソリン価格は原油価格に連動して、価格が決定しています」という表現を使っている。

 周知のとおり、ガソリンなど内燃機関で使用される燃料の多くは、原油から精製されている。原油は、日本では極少量の産出はあるものの、そのほとんどを海外からの輸入に頼っている状況だ。中東、北欧、東南アジアなどの産油国や産油地域から大型輸送船によって、原油は日本に運ばれてくる。

 こうした原油には、さまざまな種類がある。

 筆者は産油地域のひとつであるアメリカ・テキサス州内で原油に関する取材を定常的にしてきた。そのなかで、資料として世界各地の原油サンプルを見たが、色、質感、粘度などが大きく違うことに驚いたことがある。

 また、地域によって掘削する場所や方法にも違いがあり、産出にかかるコストも違う。

 そうした基本的な生産コストだけでは、原油価格がここまで大きく変動することはないはずだと、原油に関係する各種現場を見ながら改めて感じた。

 結局、原油価格は、産油国や産油地域における政治的な思惑や、それに関連した投資・投機が大きく影響するのが実状だ。原油のほとんどを海外からの輸入に頼っている日本は、こうした世界事情に対して受け身の姿勢を取らざるを得ない。そのため、エネルギー安全保障の観点から、日本国内で作られるエネルギーとして、再生可能エネルギーやそこで生まれた電力を使うEVの普及等の議論が進んでいるところだ。


桃田健史 MOMOTA KENJI

-

愛車
トヨタ・ハイエースキャンパーアルトピア―ノ等
趣味
動物たちとのふれあい
好きな有名人
聖徳太子(多くの人の声を同時にしっかり聞くという伝説があるので)

新着情報