「オーナーは運転するべからず」のセンチュリーに大改革! 世の固定観念を覆したSUVタイプとGRMNの存在 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■トヨタがショーファーカーとして用意しているモデルが「センチュリー」だ

■センチュリーを購入するためには資格審査が必要だった

■GRMN仕様やSUVのセンチュリーも登場して時代とともにイメージを変化させている

購入するためには資格審査が必要だったセンチュリー

 ショーファーカーという言葉を聞いたことがあるだろうか。ショーファー、つまり専属の運転手が運転するプレステージカーのことを指している。一見、日本車には関係のないカテゴリーのように思えるが、じつは、60年近い歴史をもつモデルが存在する。トヨタ・センチュリーだ。政財界のVIPが快適に移動できるよう考えられた重厚なフォーマルサルーンで、1967年に初代が登場している。

 いい方を変えれば、このクルマの主人公は後席に着座する政財界のVIPで、VIPとは後席で丁重にもてなされながら移動する人物のことを指す。間違っても、VIP自らが運転席に座って運転してはいけないクルマ、あくまで運転は、専用の運転手が行うショーファーカー。センチュリーとは、こうした使われ方を前提に、企画・開発されたモデルである。

 さて、このセンチュリー、2世代目のGZG50系がリリースされたころには、購入に資格審査(要するに、センチュリーの販売に見合う顧客か否か)が必要で、それは2代目オーナー(中古車として販売されるケース)に引き継がれる際も同様だったという。

 簡潔に表現すれば、所有するオーナー(後席に座るべき人物)が紛れもないVIPであるか否かということで、こうした車格体系の頂点に位置するモデルとして世界的な認識を得ているモデルが、イギリスのロールス・ロイスである。階層社会のイギリスにあって、上位層に位置する人物とは王侯貴族。極論すれば、由緒正しき血筋の人物でなければ所有できず、その場合も専属の運転手が車両を運転しなければならない。いわば、社会の暗黙の了解で、庶民層とは関係のないかけ離れた世界での話になる。

 現代の日本は階層社会でないが、こうした意味では1967年の発売から30年を経た2代目のセンチュリーが登場する際、センチュリーに対する価値観は、ロールス・ロイスと同種のものに昇華していた。いい換えれば、いくらお金があるからといって庶民層が手にすべき車両ではなく、それ相応の人にお使いいただきたい、というトヨタの販売姿勢、方針が打ち出されていた。


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