横開きヘッドライトが超新鮮! 世界一美しいクルマ「アルファロメオ・ティーポ33」の血統 (2/2ページ)

33ストラダーレから派生したコンセプトカーたち

 そして、33ストラダーレの面白さは、ここからさまざまなコンセプトカーが派生していったことにある。

 最初に発表されたのは、1968年のパリサロンでお披露目されたベルトーネの「アルファロメオ・カラボ」で、その後、同年のトリノショーではピニンファリーナの「アルファロメオP33ロードスター」が、1969年のトリノショーにおいてはイタルデザインから「アルファロメオ・イグアナ」がデビューを飾っている。

 さらに同年のパリサロンにはピニンファリーナの「アルファロメオ33/2クーペ・スペチアーレ」、1971年のブリュッセル・モーターショーではまたもやピニンファリーナの「アルファロメオP33キュネオ」、そして最後に誕生したのが、1976年のジュネーブショーで発表された、カラボと同様にマルチェロ・ガンディーニをチーフデザイナーに抜擢したベルトーネの「アルファロメオ・ナバホ」だった。

 全長×全幅×全高で3800×1860×1050mmというサイズをもつナバホのエクステリアデザインは、当時流行の最前線にあったウエッジシェイプのコンセプトを採り入れたじつに斬新なフィニッシュを見せていた。

 フロントにはヘッドライトが装備されていないかのようにも思われるが、じつはそれはフロントフェンダー部に内蔵されており、点灯時には横方向にライトが露出する仕組みとなっている。

 シャープなライン構成や、リヤホイールを覆うハーフカバーなどにはガンディーニの作らしい特徴が表れている。さらに、リヤにはエンジンルームを覆う巨大なリヤウイングも装備される。ボディ素材はフルファイバーグラスで、結果ナバホの車重は870kgに抑えられている。

 ミッドに搭載されるエンジンは、スピカ製のフューエルインジェクションが組み合わされる1995ccの2リッターV型8気筒で、最高出力は233馬力/8800rpm。インテリアもエクステリアと同様に、未来的な感覚とラグジュアリーな印象が共存する。

 また、このナバホは、33ストラダーレと比較してホイールベースがさらに100mm長く(つまり33/2に対しては200mm長い)、室内の居住性も十分に考慮されているのが特長だ。

 レーシングカーからロードモデルへの転用。そしてイタリアンカロッツェリアの全盛期を象徴するかのようなさまざまな派生モデルの誕生。アルファロメオ・ティーポ33というモデルには、まだまださまざまなストーリーが隠されているのだが、それらの話はまた別の機会に譲ることにしようと思う。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
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