香港のタクシーが「サービス違反点数制度」導入で顧客満足度向上! 日本のタクシー業界も外国人運転士の採用などを考えれば検討の余地あり (2/2ページ)

サービス向上にはドライバーのランクわけも有効か

 香港の制度は、交通違反の点数制度同様に守らない者へのペナルティ的な色合いが目立つが、日本では加点していく、つまりポイントの高い運転士を評価していくことを目的にポイント制度を導入するのはアリかもしれない。現状でスマホアプリによるタクシー配車マッチングサービスを利用してタクシーを降りると、項目は少ないが運転士を評価してほしいというメッセージがスマホに送られてきて、チップを払うこともできる。実際、すでに優良運転士評価制度なども導入されているのだが、その評価に利用者をもっと積極的に参加させてみてはどうだろうか。

 インドネシアやタイ、インドなど筆者が訪れた国々ではすでにライドシェアサービス大手や地元大手タクシー会社が、スマホアプリによる配車マッチングサービスを導入している。そしてそれに伴い、利用者による乗務員への評価も実施されている。いずれの国でも導入前後で乗務員の接客姿勢に大きな変化が出ており、いまでは便利に使えるようになった。より広範に乗務員評価制度を導入することは、サービス向上にかなり効果的なのである。

 これをスマホだけではなく、いまどきのタクシーは助手席ヘッドレストに後席に座った乗客向けにタブレット端末のようなものが多く設置され、クレジットカード決済などがそのタブレットでできる場合がある。そのタブレットにて5段階評価などになっている画面タッチをするだけで、運転士の評価ができる機能を付加すればより広範な運転士の評価が可能となるだろう。

 そしてスコアの高い運転士にはおいしい仕事が優先的に割り振られるようにしていけば、運転士、利用者ともにWIN-WINなものになると考えている。

 たとえば航空会社のマイレージ制度のように、獲得ポイントによって「標準」、「シルバー」、「ゴールド」、「プラチナ」、「ダイヤモンド」と運転士のステータスが上がるようにして、ステータスがアップするごとに、よりおいしい仕事が得られるようになるとか、営収(営業収入)における運転士の取り分比率が上がっていくなど、特典を設けてみるのもいいかもしれない。

 もちろん、事故のない安心・安全な運行や交通違反の有無なども評価対象に入れるのは当たり前の話である。

 今後は外国人運転士も本格導入されるのではないかとされる日本のタクシー業界。多様化が、利用する側だけではなく実際に車両を運転する運転士側でも進めば、価値観の異なる多様な人が運行業務に携わることになるのだから、より客観的な視点でのサービス向上を目指さないと、今の世界的にも評価の高い日本のタクシーの未来に暗雲が垂れ込めるかもしれない。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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