この記事をまとめると
■全国の駐車場の軽自動車専用枠には「軽」の字が書かれている
■熊本県と大分県と徳島県の一部では「圣」という字が使われている
■時短やコストカットの一環で生まれたといわれているが現在では新規で作られていない
熊本の駐車場には見たことない字が並んでる!?
イオンやドンキなどの大混雑した駐車場でやっと空きスペースを見つけ、「よっしゃ! あそこに停めよう!」と思って行ってみたが、そこはあいにく枠内の地面に「軽」という漢字がペイントされている狭いスペースで、自分の普通車を停めることはできなかった──なんて経験は、ほとんどすべてのドライバーがしているのではないかと思う。
だがその枠内地面に「軽」ではなく、軽という字の旁(つくり)である「圣」とのみペイントされている光景を見たことがあるのは、主には熊本県民だけかもしれない。
熊本県内のすべての駐車場で「軽」が「圣」になっているわけではないが、熊本大学の茂木俊伸教授(日本語学)が行った調査によれば、JR熊本駅を基点とする半径2kmの範囲内に、2022年は157個、2023年には131個の「圣」を確認できたという。また、「軽」の字を「圣」とペイントしている駐車場は、大分県別府市と徳島県鳴門市でもごく少数が確認できるが、圧倒的に多いのは熊本県であるとのこと。
なぜ熊本ケンミンは、駐車場における「軽」の字を「圣」と表記したのだろうか?
結論から申し上げると、熊本県の駐車場における「圣」という表記がいつ、なぜ、誰によって始められたかは完全に不明である。だが、いわゆる「方言漢字」および「景観文字」として、熊本県内では「圣」というペイント文字が生き残っているのだ。そしてそれは、後述する理由により減少傾向にあるようだが、まだまだしばらくは、熊本市内へ行けば「圣」という呪文のような(?)表示を見ることができる。