この記事をまとめると
■ヘッド車で引っ張るキャンピングトレーラーの「エアストリーム」が人気
■エアストリームは生まれ故郷のアメリカでも憧れのトレーラーブランドだ
■エアストリームはジェラルミンのボディとコロンとした流線形のフォルムが特徴
キャンパーの憧れエアストリーム
シルバーに輝く流線形のボディが目を惹く「エアストリーム」。ヘッド車で引っ張るキャンピング・トレーラーですが、その存在感は抜群です。一見無骨にも見えるフォルムは、キャンプサイトのような自然のなかではもちろん、カフェスタンドとして街なかの景色にも溶け込む唯一無二の傑作デザイン。生まれ故郷のアメリカでも、憧れのトレーラーブランドとなっています。
金属の地金が鈍く輝く(クリア塗装は施されています)ボディシェルは、ジュラルミンで作られています。アルミ合金の一種であるジュラルミンは、創始者のワーリー・バイアムがトレーラー開発をスタートした1930年ころの航空機に使われていた当時の最新素材。軽くて強度にすぐれたジュラルミンは、バイアムが目指した理想のトレーラーになくてはならない素材だったのです。
デザイン上のアイコンとなっている「リベット留めによる固定」も、当時の航空機と同様の手法。取り付け作業は職人の手作業で施され、それは現行の最新モデルにも受け継がれる伝統となっていますが、薄いジュラルミンに正確にリベットを打ち込むのは、卓越した技術が必要だといわれています。
コロンとした流線形のフォルムもまた、らしさ満点のポイントです。居住性の効率と組み立てやすさを優先した「小屋型」が主流だった時代、空力特性にも配慮したエアストリームは時代に先駆けた存在でした。それが、走行時の安定と燃費の向上にもつながったことは間違いありません。
いうまでもなく、航空機の設計には、軽量でありながら強度が求められ、限られた室内空間を快適性が求められます。その思想を贅沢にもトレーラーに採用したのがエアストリームであり、「常に最良を目指す」という根本的な思想こそが、同社を高級トレーラーブランドとして確立したのでした。
さて、アメリカで人気のキャンピングトレーラー(アメリカ本国では、トラベルトレーラーと呼ばれることが多い気がしますが……)とは、そもそも一体どんな存在なのでしょうか?
その原点となるのは、「幌馬車」です。馬で荷車を引っ張って旅をするという発想を、現代のクルマ社会に置き換えたのがトレーラーであり、要するに被けん引装置を備えた「旅する家」。ヘッド車両で引っ張って出かければ、旅先でも快適な我が家でくつろげるというのが最大の魅力です。