知っておくべき警告灯の役割
では、一般的に考えられる警告灯とそのメカニズムを考えてみることにしよう。
まず、水温インジケーターだ。一般的には、まだ指針式の水温メーターを装備しているクルマも多いと思うが、インジケーター方式は、水温が適正範囲内にあると点灯せず、冷間時または高温時(いわゆるオーバーヒート状態)に点灯する仕組みになっている。このうち、冷間時は走り出せば水温が上昇し、適正温度の範囲になったところで消灯する。
問題は、水温が適正範囲を超えたことで点灯する場合で、これはオーバーヒートを意味し、そのまま運転を続けるとエンジンをダメにする可能性があることを示唆している。こうした場合、すみやかにクルマを止め(安全に止められる場所を探し)、いきなりエンジンを止めずに、しばらくアイドリングで警告灯の状態をチェックしよう。
2〜3分アイドリングを続けても警告灯が消えない場合は、エンジンを止めて冷えるのを待とう。ラジエターキャップを外して冷却液量もチェックしたいのだが、エンジンが熱いうちは厳禁。冷却液量が不足して水温が過上昇する場合があるからだ。さらに、沸騰したクーラントが噴き出して顔にかかる場合もあり、大火傷する可能性もある。また、クルマの下まわりも合わせてチェックし、冷却液漏れがあるかないか確認しよう。
ロングライフクーラントを使用しリザーバータンクをもつクルマも多いと思うが、冷却液が不足していたら水道水でよいからまずは補充。冷却系に破損がなく、冷却液が不足した理由が不明であるなら、あまりエンジン回転を上げずに整備工場へ直行。可能性としては、水温センサーの不良も考えられるので、運転に注意しながら整備工場に向かうべきだろう。
エンジンオイルに関してのインジケーターは、油温、油圧の異常でなく、オイル量が不足していることを警告する場合が多い。もちろん油量不足でエンジンを高回転で回せば、油温が上昇して油圧が低下、油膜切れをおこしてエンジンが焼き付くケースもある。やはり、エンジンを停止して冷えるのを待ち(冷えなくてもレベルゲージのチェックはできるが)、オイル量のチェックをしたい。
減っていた場合でも、極端に減っていなければ、そのまま回転を上げずに自走して、整備工場なりガソリンスタンドでオイル交換をすれば大丈夫だ。もちろん、可能性は低いが、オイルセンサーの故障も考えられる。
ブレーキ系は、ブレーキ回路の異常とABS系の故障を警告する2種類のインジケーターがある。通常のブレーキ警告灯は、サイドブレーキと連動し、レバーが作動した状態(いい換えれば、パッド、シューとディスク、ドラムが接触した状態)を警告する場合が多く、サイドブレーキのリリースが完全なのかを確認したい。
走行中に点灯した場合は、ブレーキ回路に異常があると判断し、速度を落として走行。合わせてブレーキの利きを確認。ブレーキは、走るクルマの速度を低減、停車させる装置のため、異常が発生すると一大事となる。もちろんセンサーの故障も考えられるが、まずはブレーキの作動状態を確認し、利き具合に変化がなければ、車速を上げずに整備工場へ。
ABSの警告灯もブレーキ警告灯と同じと考えてよいが、ABSにはフェールセーフ機構があり、ABSに異常があった場合には、ABS回路をキャンセルして通常のブレーキシステムとして作動するように作られている。とはいうものの、警告箇所はやはりブレーキ。ブレーキの不備は重大事故に結び付くだけに、すみやかに整備工場に行くべきだろう。
警告灯の点灯は、楽観的に考えればセンサーのトラブル、深刻に考えれば警告灯が示すシステムの動作不良も考えられるが、まずは点灯した時点で速度を下げ、安全に止まれる場所を探して停車。そこからクルマの状態を確認すればよい。クルマや機関が止まっていれば、重大なアクシデントにつながるケースを回避できる。まずは、落ち着こう。