最近では「SUV」という言葉の範囲がさらに広がっている
いまでもSUVとクロスオーバーSUVを区別している人も存在しているでしょうが、自動車業界全体としては変わってきています。いわゆるクロカン4WD的モデルも、乗用車ベースでスタイルはそれっぽいけれどFWDのモデルも、総じてSUVと呼んでいるのが現在のトレンドです。
その背景には、いくつかの要素があるでしょう。
たとえば本格クロカン4WDにおいてレンジローバーなどはモノコックボディを採用しています。もはやボディ構造でクロスオーバーなのか、そうでないのかを区別することは難しくなっています。
乗用ベースのモノコックボディをもつモデルは走破性について、もともとSUVと呼ばれていたような4WD車に劣るというのが定説でしたが、それも覆されてきています。たとえば、スバル・フォレスターなどの走破性が高いことは北米でも評価されていますが、構造的にはモノコックボディの乗用車向けプラットフォームといえます。
また、ランドクルーザーはラダーフレームを守っていますが、乗り味的にはクロカン的にハードなものではなく、高級車然とした仕上がりになっていると評価されています。
つまり、クロカン4WDとSUV、そしてクロスオーバーSUVと細かく分類されてきた時代を経て、どのカテゴリーのモデルも走行性能や快適性は変わらないレベルになってきたといえます。そうして各モデルが進化を遂げてきたなかで、構造に由来する機能差がクロスオーバーしてきたこともあり、あえて細かくわける必要もなくなりました。
結果として、最近ではオフロード走行を意識したロードクリアランスをもつモデル全般を「SUV」と称することになったといえるでしょう。語源に含まれるスポーツ要素を感じさせないようなラグジュアリー系モデルもSUVにカテゴライズされていますが、こうした経緯で統合されるようになったと知れば、そのあたりの疑問や違和感も解決するのではないでしょうか。