「ミニ」よりも「ミニクーパー」のほうが知名度が高かった 前述のとおりBMWが作るようになってからのミニにおいて、「クーパー 」というのは中間グレードのグレード名でしかなかった。だが1961年10月に登場した一番最初のミニクーパーは、いまでいう「エボリューションモデル」だったのだ。
ミニからミニクーパーに改名したミニにとってそもそも「クーパー」ってなぁに? 画像はこちら
1959年に発売された元祖ミニを設計したアレック・イシゴニスの友人で、1950年代のF1を席捲した英国人の名チューナー「ジョン・クーパー(John Newton Cooper)」は、イシゴニスからミニの試作車を見せられ、そして試乗した際に「このハンドリングなら勝てる!」と確信。そして普通の小型実用車だったミニをチューニングしたものが、1961年10月に1000台限定で発売された「一番最初のミニクーパー」だった。
当時のノーマルミニが848㏄/34馬力のエンジンを搭載していたのに対し、ジョン・クーパーの「ミニクーパー」は997㏄/54馬力のエンジンを搭載したほか、サスペンションやブレーキも強化されていた。そして、(ややこしいいい方で恐縮だが)クーパーが作ったクーパーは、登場直後からレースやラリーで大活躍。そのため、ミニの製造元だったBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)は、さらなる高性能モデル「ミニクーパーS」を開発した。
そうして生まれた元祖ミニクーパーSはBSCC(ブリティッシュ・サルーン・カー・チャンピオンシップ)の主要タイトルを総なめにし、凍結した冬のアルプスを走る「モンテカルロラリー」でも1964年、65年、67年に総合優勝を果たす。途中、1966年のモンテカルロラリーでは失格となったが、これは不可解な理由による処分であり、実質的にはこの年も、ミニクーパーSはワンツーフィニッシュを果たしている。
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1970年代に入るとラリーのワークスチームは撤退し、ミニクーパー自体も市販車のカタログから消滅した。だが、「クーパー」という4文字(英語のCooperだと6文字)の鮮烈な記憶は残り続け、1980年代後半にはジョン・クーパーがチューニングしたコンプリートキットが発売され、1990年にはキャブ仕様の「ミニ クーパー1.3」を発売。そして、1992年にはインジェクション仕様の「ミニ クーパー1.3i」も発売。これらは日本市場でもバカ売れした。
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「クーパー」という言葉のスポーティで良好なイメージは、2001年に誕生したBMW製のミニにも受け継がれ、前述のとおり中間グレードのグレード名は「クーパー」となり、最上級グレードのグレード名は「クーパーS」になった。
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このような栄光の歴史から考えると、クルマに詳しくない人がミニのことを「ミニクーパー」と誤った車名で認識するようになってしまったのも、ある意味当然で不可避なことだったのかもしれない。そしてまた今年3月に車名が「ミニクーパー」に変更されたのも、これまた必然といえば必然だったのだろう。