このカッコで闘えるんか!? モータースポーツ界の変わり種マシン4選 (2/2ページ)

日本車も変わり種ボディをもったレースカーの宝庫!

 サーキットレースへのワゴンボディの投入は、じつは日本のサーキットでも行われていた。2006年、スーパー耐久ST-2クラスにランサー・エボリューション・ワゴンが登場。

 2005年9月にリリースされたランサー・エボリューションⅨのワゴンモデルをベースとしたマシンは、セダンモデルと並行してスーパー耐久シリーズに出場。ボルボ同様、ワゴンボディでも十分レースに耐える性能を備えていることをアピールするため投入されたのである。結果的にはほんのひと息、セダンにおよばなかったが、高性能を備えることは十分に実証した。

 その性能がセダンボディと遜色がないことを示すように、ワゴンボディのマシンはラリーフィールドにも投入されていた。

 それも世界レベルでの戦い、1995年のサファリラリーにグループN規定車両で参戦が行われたのである。ドライバーは日本人の三好秀昌。この年のサファリは、WRCの冠タイトル戦から外されていたがグループA車両が多数参加していたのである。

 勝ったのはグループAセリカGT-FOURの藤本吉郎、2位はグループAランサー・エボリューションIIIの篠塚建次郎だったが、三好秀昌の操るインプレッサ・ワゴンは、グループN車両ながら総合4位、クラス優勝を勝ち取っていた。インプレッサには同型のバンがなく、ワゴンモデルのステータス性は高く、こうした意味でのPR効果は十分に得られていた。

 一方、サーキットレースで独創的な形の車両はないかと振り返ってみると、つい最近(といっても10年以上も前だが)きわめて特徴的な車両が1台だけあった。ル・マン、WECがハイブリッド・プロト時代になった初年の2012年、賞典外参加のかたちでル・マンに参戦したデルタウイング・ニッサン。前がすぼまり後ろが広がるフォルムをもっており、その形から日本人ジャーナリストから「イカ」と呼ばれたマシンだ。設計はデルタウイング・レーシング・カーズのベン・ホヴルビーが執り行った。

 エンジンは1.6リッター直列4気筒直噴ターボの日産MR16DDT型を搭載。出力は300馬力と非力だったが、420kgという超軽量な車重によって3分42秒612とLMP2クラスと遜色ないタイムをマークした。決勝では他車との接触でリタイヤに終わったが、車両概念を変えれば、驚くほど効率的に性能が確保できることを実証。残念ながら本格的な参戦活動はこの1年で終了してしまったが、可能性を見せたという意味では、非常に大きな参戦意義をもつ「変わり種」の1台だった。


新着情報