FRスポーツもEVもSUVもワンボックスもなんでもござれ! ヨコハマのスタッドレス「アイスガード7&アイスガードSUV」の「効く」性能 (2/2ページ)

ライフスタイル別に選べる特性が嬉しい

 続いて雪上性能を検証するため、屋外の総合圧雪試験路で雪上制動とスラロームを両タイヤで試した。50km/hからフルブレーキングすると、ABSの介入の仕方が微妙に違うものの、制動距離はいずれも40m前後でほぼ同等となった。

 スラロームではドライブモードやVSCの設定をいろいろ変えながら走ったところ、ここでも微妙なニュアンスの違いがあった。路面のコンディションによって印象は大なり小なり印象が変わりそうだが、走行時のような路面が水分の少ない圧雪ではアイスガードSUVが優位なのか、アイスガード7も軽やかに走れたことには違いないが、スラロームでは横に逃げずにアクセルオンで前へと進もうとする感覚が若干上まわるように感じられた。

 概ね商品コンセプトどおり、とにかくアイスガード7の氷上性能が際立っていることはよくわかった。氷上と雪上では相反する性能が求められるところを、アイスガード7は、「氷に効く」ための接地技術と「雪に効く」ための溝エッジ技術により上手く両立することができていることには違いない。

 一方のSUVやEVの高荷重や高トルクへの対応としては、アイスガード史上で最大という接地面積とブロック剛性が効く。アイスガード7にはイン側に幅広の「パワーコンタクトリブEX」、アウト側には縦長の「マルチベルトブロックEX」やブロックの倒れ込みを抑制する「コレクティブビッグブロック」といった独自の技術が用いられている。

 施設内にある別のコースに移動し、次にそれぞれ発進トラクション、加速感、旋回グリップ、舵角量、手応え、制動、ふらつきなどの具合を確認した。

 SUV対応の検証の第2弾として、フロントが235/60R18、リヤが255/55R18という大径の幅広サイズを履くポルシェのマカンを同じ総合圧雪試験路で単独で走行した。

 SUVとしてはひときわスポーティな性格のマカンとなればいろいろ難しいはずのところ、マカンならではのスキのない操縦性がスポイルされることなく、舗装路の延長上のような感覚でドライブできた。操舵に対する応答遅れが小さく、腰砕けになる印象もなく、アクセル操作で曲がり具合を積極的にコントロールして楽しく走ることができた。

 EV対応の検証は、ハンドリング試験路にコースを移動して、ディーゼルのBMW X1とBEVのiX1を乗り比べた。車両重量はX1が1770kgのところiX1は2030kgとかなり重く、車検証を見ると前軸重は同等だが後軸重が大きくなっている。

 タイヤに十分なグリップがあり、よりリニアな出力特性で、スリップに対して緻密に制御できるBEVの強みで、300kg近く違うにもかかわらず出足はむしろ軽やか。減速時にはさすがに重さを感じるのと、バランス的にはリヤが重くなっているためコーナリングの後半で振り出されるような感覚もあるが、回頭性は同等でよく曲がり、こうしたコースを速めのペースで走ってイメージしたラインから外れそうになっても立て直しやすく、いたって乗りやすい。

 幅広のリブや大型のブロックなどにより実現した高い剛性により、高性能のSUVや重量が大きく瞬間的に大きな入力のあるBEVでも、しっかり対応できていることを確認した。

 次いで、スポーツカーとアイスガード7、ハイエースとアイスガードSUVとのマッチングをそれぞれ総合試験路で確認した。

 フェアレディZのように大パワーの後輪駆動車にフロント255/40R19、リヤ275/35R19という幅広で低扁平なサイズを履かせるとまともに走れないのではという気もするところだが、そんなことはない。気をつけて走ればちゃんとグリップして安心して走れる。

 せっかくこういう機会なのでいろいろ試してみて、VDC OFFではスピンしたこともあったのはご愛敬ということで(笑)。 組み合わされていた攻め込んだデザインの「ADVAN Racing GT BEYOND」というアルミホイールもよく似合っていた。

 ハイエースには、2023年10月に発売された、215/65R15というサイズのアイスガードSUVが装着されていた。車両は2.7リッターガソリンエンジンを積む10人乗りで、一般的な使用状態に近づけるため荷室に大人3人分に相当する約180kgのバラストが積載されていた。

 重くて重心が高くてホイールベースも長いという厳しい条件がオンパレードのクルマでもちゃんと走れるかを試したところ、しっかり止まって曲がれることがわかった。これなら、大人数を送迎する施設のドライバーにとっても心強いはず。

 さまざまな技術を駆使して実現したアイスガードの優れた性能と多くの要素に対応できる懐の深さを大いに実感した次第である。


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