この記事をまとめると
■ヨコハマタイヤのスタッドレスタイヤを北海道旭川市にあるテストコースで試乗
■アイスガード7とアイスガードSUV(G075)をさまざまなクルマに装着してチェック
■アイスガード7は氷上性能を重視しておりアイスガードSUVは雪上性能を重視している
お馴染みのテストコースでヨコハマのスタッドレスを再確認
「氷に効く、永く効く、雪に効く」を掲げて、2021年9月に発売され、今季4年目のシーズンを迎えるアイスガード7(iG70)について、その実力をあらためて検証するとともに、じつはSUVやEVにも十分に対応できることを、おなじみの「TTCH(北海道タイヤテストセンター)」で確認してきた。
まず基本的なことからおさらいすると、「ウルトラ吸水ゴム」を採用したアイスガード7は、「プレミアム吸水ゴム」を用いた従来のアイスガード6に比べて、氷上摩擦力が14%も向上し、しかもその高い性能が製造から4年経っても維持されることが確認できている。
氷上性能と相反する雪上性能についても、雪上制動では3%短く止まれるようになり、コーナリング性能も同等以上となっている。しっかり止まって曲がれるおかげで、雪上でもより安心して走れるようになった。
また、SUVとEVの販売台数や保有台数が右肩上がりの状況で推移している市場環境を受けて、横浜ゴムではアイスガード7において性能の確保とサイズの拡充によりSUVやEVへの対応を図ってきた。
SUV向けスタッドレスタイヤというと、横浜ゴムにはアイスガードSUV(G075)もあり、アイスガード7とは重複したサイズの設定もあることから、どちらを選ぶべきか迷うケースも考えられるが、ざっくりアイスガード7が氷上性能重視で街乗りに適するのに対し、アイスガードSUVは雪上性能重視で冬季レジャーに適するように棲みわけているという。
アイスガードSUVを100%とすると、アイスガード7は溝面積比が84%、接地面積が109%、エッジ量が103%となっており、氷上制動は115%、氷上旋回が107%と、氷上性能において大幅に上まわっており、雪上性能も同等以上と伝えられる。
そこで、SUV対応の検証として、まずアイスガード7とアイスガードSUVを装着したRAV4を氷上と雪上で乗り比べ、制動と旋回を試した。
自然氷温マイナス3度の屋内氷盤試験路で、30km/hからフル制動を何回か試したところ、フィーリングからしてだいぶ違った。アイスガードSUVのほうがABSが緻密に作動する感覚があり、それが結果にも直結し、平均値はアイスガードSUVが19mぐらいだったのに対し、アイスガード7は15mを下まわった。この差は4m前後だが、決して小さくない。
ステアリングを切ったときの応答性や接地感も少なからず違う。アイスガードSUVだって、水膜を吸水する効果をもつコンパウンドを用いており、それなりに走れるのだが、吸水性に優れ、接地面積の大きいアイスガード7は、より氷上に特化した性能を備えていることがうかがえる。
隣接の屋内氷盤旋回試験場で定常円旋回を試すと、それがさらに如実に感じられた。アイスガードSUVよりも速いスピードで旋回できるのは体感的にも明らかで、メーターの表示もそのとおり。体感的にもアイスガード7のほうがグリップ感が高いだけでなく、アイスガードSUVでは限界を探るのに少し時間を要したのに対し、アイスガード7は走り始めてすぐにそれがわかり、一定の車速を状態を維持しやすく、そのときの舵角も小さい。氷の上でもしっかり地に足がついていて曲がりながら前に進んでいく感覚がある。