この記事をまとめると
■令和3年に起きたトラックの事故は1万4000件
■周囲を走る乗用車も気をつけなければならない
■トラックの修理費について解説する
100万円を超えることも珍しくない!
トラックの大型化へのシフトが進んで、高速道路だけでなく街なかでも大型トラックが走行している比率が高くなっている。そうなると、大型トラックと乗用車との交通事故も自然に増える。
交通事故件数でみれば、日本は減少傾向にあり、なかでも事業用(トラック、バス、タクシーなど)のクルマが関連した事故は全体の1割以下だ。最新データでも令和3年のものになってしまうが、交通事故全体が30万5000件あるのに対し、事業用車両が関わる事故は2万2000件。どちらも平成24年(9年前)と比べて半減している。
しかし、事業用でも細かく見ていくとトラックの交通事故は2万3000件から1万4000件へと減っただけで、バスやタクシーと比べると減少の度合いは少ない。これはトラックの稼働率や台数が増えていることも原因のひとつ。
その証拠に走行1億キロごとの事故件数では事業用ではタクシー(約150件)がダントツに高く、トラックは乗合バス(約34件)よりも少ない約22件なのだ。都市部を走行することが多いタクシーやバスが不利な面もあるが、トラックはあれだけ走りまわっている割には交通事故は少ないのである(国土交通省「事業用自動車の交通事故統計」令和3年版より)。
そして、トラックの交通事故だけを見てみると、軽トラック(約4600件)が一番多いものの、次いで多いのは大型トラックの約4100件で軽トラとそれほど変わらない。中型(約2500件)と準中型(約2100件)にわかれているせいもあるが、大型トラックが増えているため事故の割合も増加しているようだ。大型トラックの交通事故では、もちろんトラック同士の事故もあるだろうが、確率的には乗用車との事故のほうが多い。ということは、乗用車のドライバーは大型トラックとも交通事故を起こす可能性が高いことになる。
ここで気をつけなくてはいけないのが、万が一自分が原因で大型トラックと交通事故を起こしてしまった場合だ。大型トラックは車体が大きいだけでなく、部品が高額で重く大きいから、修理や交換の工賃も高くなる。たとえば助手席側のドアにクルマをぶつけて、ドアを交換しなければならない場合、20万円以上の費用がかかるのが普通だ。
とはいえ、これだけなら高級車のほうが高いのだが、実際には事業用車両は事故で修復しなければならないとなると、代車費用や休業補償なども支払わされる羽目になる。さらに、衝突被害軽減ブレーキの装備が義務化されているから、バンパーを交換するほどの事故となれば、バンパー交換だけでなくミリ波レーダー装置の脱着や交換なども必要になって、軽く100万円を超える修理費用がかかることも珍しくない。
衝突すれば乗用車のほうが潰れて、大型トラックのほうがダメージは少ないものだが、衝突がきっかけでコントロールを失い、建物など建築物に衝突すればトラックもダメージが大きくなる。キャビンの大掛かりな板金修理や交換ともなれば、修理代金は数百万円にも上る。ボルボやスカニアなどの輸入車なら、さらに上昇するだろう。もちろん自動車保険に入っていればこれらの大半はカバーされるが、免責金額は加入者の負担になるし、翌年の保険の等級は3段階は下がって、事故ありの評価になるため、保険料は跳ね上がることになる。
大型トラックを避けて走ることなどできないから、対策はとにかく安全運転することしかない。自分にほぼ責任がない事故であれば過失割合は少なくなり、相手の修理代を負担することはほぼなくなるからだ。