環境問題への対策としてディーゼル車をターボ化
一方、1999年に当時の東京都知事がディーゼル車の公害問題を可視化したことで、ディーゼルトラックの環境問題が大きくクローズアップされた。当初は排気ガス処理技術が中心であったが、バブル経済崩壊以降から続く不況で、トラック業界では省燃費を求める声が高まっていった。そこで、排気量を下げるダウンサイジングが注目を浴びるようになったのである。
これは、ベースとなるエンジンの排気量を下げることで、使用燃料の減少、排出ガスの抑制を図ろうというものだ。ただ、前述のとおりターボは低回転域では威力を十分に発揮できない。そこで、可変ノズルターボが登場したのだ。これは、エンジンの回転数に応じて排気タービンハウジング内の排気ガス通路面積を変化させることで、過給効果を高める仕組み。エンジンが低速回転をしているときには排気ガスの流速を上げて過給効率を高め、高速回転時には流速を下げて損失を減らす効果がある。
このターボチャージャーと、ダウンサイジングしたディーゼルエンジンを組み合わせることで、低回転域から高回転域に至るまで必要なパワーを生み出せるようになったのだ。また、ターボチャージャーは減速後に再加速した際、コンプレッサーが機能するまでの遅延時間(ターボラグ)が発生した、これにより、部分的な空気不足が発生することからPM(粒子状物質)が多く発生していたが、これも同時に解決したことで環境対策にもなっている。
将来期待されている大型トラックのEV化は、必ずしも明るい見通しというわけではない。世界的な化石燃料不足や環境問題を抱えながらも、当面はディーゼルトラックが陸上物流を支えなければならないのだ。こういった技術の進化によって、少しでも環境負荷が小さいディーゼルトラックが、生み出されることを願ってやまない。