後付けの電動式冷房装置はエンジンをかけずに使用できる
そこで注目されているのが、後付けの電動式冷房装置だ。既存の車載バッテリーから給電し、コンプレッサーを作動させることでキャビン内の空気を冷やす。心配なのはバッテリー上がりだが、これには対策機能がついている。一定の電圧降下があると、自動的に運転が停止するというものだ。
また、「エコモード」「ナイトモード」などといった設定があり、電力消費を抑えることが可能な設計になっている。これなら、熱帯夜でもエンジンを動かすことなく、快適な睡眠をとることができるようになるだろう。
暖房装置も同様に、エンジン動力を使わないタイプのものが開発されている。そもそも、トラックを含めた自動車の暖房装置は、エコの面で優れているとされる。なぜならば、エンジン排熱を利用するシステムを採用しているからだ。しかし、これはあくまでエンジンを動かしていることが前提で、環境的な問題まで解決しているわけではない。
あと付けの暖房装置は燃焼ヒーター方式のもので、燃料は化石燃料を使用する。ゆえに、電気式の冷房装置に比べるとやや環境評価は劣るものの、完全に燃焼するシステムを採用しているので、エンジンをかけるよりもはるかに優れた構造であるといえよう。燃焼ガスは車外に排出するから、キャビン内は安全だ。燃焼や温度の調整は、手もとにあるコントロール装置で行なう。オーバーヒートについても、センサーにより強制的に燃焼装置を停止するといったセーフティ機能がある。
今後、トラックのEV化が進めば、こういった装置は不要になっていくかもしれない。しかし、トラックのEV化はまだ緒に就いたばかりだ。まして、長距離大型トラックのEV化にはまだまだ課題が多く、実用化の目途が立っているとは言い難い。喫緊の課題である地球環境問題に対応するためには、こういったアイテムを積極的に導入していく必要があるようだ。