「ICE ZERO Asimmetrico」は扱いやすいスタッドレス
■ICE ZERO Asimmetrico(アイス・ゼロ・アシンメトリコ)
日本の厳しい冬に高いパフォーマンスを発揮することを強く意識して開発されたのがアイス・ゼロ・アシンメトリコだ。ウインタータイヤでは長い歴史をもつピレリだが、スタッドレスタイヤの開発は日本でスタートしている。現在は拠点を欧州に移しているが、スタッドレスタイヤの評価に関しては、依然として日本市場での評価を重視しているのだという。
それは冬用タイヤにとって、日本の冬が世界的に見ても厳しいこと、そして日本のユーザーのスタッドレスタイヤに対する感度が高いからなのだという。つまり、欧州における高速スタッドレスの要求と、日本の0度付近の氷雪路でのグリップ性能、ふたつの性能を両立したのがアイス・ゼロ・アシンメトリコだ。
特徴は、その名前のとおり氷上性能を重視したトレッドデザインとなっていること。3本の太い縦溝を基調にすることで広い接地面積を確保しているのが見て取れる。同時にオフセットして配置された太い縦溝に挟まれた幅広リブ(ブロック列)には、スクエアブロックと名付けられた四角いブロックが配置されている。これによってリブと剛性のバランスを取り、氷上性能を高めている。
また、このスクエアブロックを構成する中部と溝は、ダブル・サイドトゥサイド・グルーブとも名付けられている、横方向に効くエッジ成分を増すことでスノー性能を高め、縦溝の増加によるウエット性能の向上も図っている。
コンパウンドには、新リキッドポリマーというトレッドコンパウンドの柔軟性を高め、寿命末期まで柔軟性を保つ材料が配合。利きの長もち性を延ばしている。
試乗車はFIT、アルファード、ボルボXC40、カローラスポーツ(いずれも4WD)と、多彩な車種が用意されていた。
試乗した印象は、コンパウンドゴムが柔軟で凍結&圧雪路面を自信をもって走れるグリップ性能をもっていた。それと同時に、速度レンジTの高速スタッドレスならではのブロックの強さとかエッジの利いた感触が感じられた。たとえば、カローラスポーツでは横方向にエッジの利いた、軽快な操縦性が印象的だった。身のこなしが軽く、軽々と走る感覚がる。
軽量なFITでも、横方向の踏ん張り、トラクションのかかり具合ともに明瞭で走りやすかった。
重心が高く重いアルファード、ボルボXC40では、ブロック剛性、トレッド面剛性の強さが感じられ、ブロックのゆがみ感が少なくクルマの重さを受け止めている感触があった。ハンドルの手応えもクリアでマッチングがよかった。
キャラクターとしては、ライバルと絶対性能を競うというよりは、インフォメーション性、コントロール性を磨き込んで、誰にでも扱いやすいスタッドレスに仕上げていると感じた。
このほかにもピレリのウインタータイヤシリーズに試乗することができた。欧州初のスノータイヤは高速操安性を重視される傾向にあり、また日本のスタッドレスほど氷雪上でのグリップ性能を求めていない。そんなピレリのウインタータイヤを試乗してみたのだが……。