ワンタッチばかりじゃない……ひと癖あるオープンカーたち
面倒くさいけどまあ我慢できそう
ポルシェ911タルガは、タイプ964まではフレーム(骨)を折りたたむことで、ハードトップがコンパクトになり、フロントフード下に納められる設計でした。
なかなか合理的な設計だったものの、折り畳みにはコツ、あるいはフレームのテンションが強くて大の男でも苦労する場面もあったかと。しかも、このトップが微妙に重たいので、正直なところふたりがかりでやりたくなりました。
その点、ホンダS660はポルシェに似たタルガトップながら、サイズが小さいことが幸いしているのか骨の折り畳みや、ルーフそのものもコンパクトで軽そうです。ロックを外すところから、フレームを畳む手順こそありますが、慣れれば面倒と思うことなく開閉できそうな気がします。
また、意外なことにランボルギーニ・アヴェンタドールのタルガトップも手動による開閉。ですが、左右2分割されたトップの付け外しはそれこそワンタッチ。しかも、極小に思われるフロントフード下にスッキリ収まるという親切設計です。
入れる順番とか、荷室内で揺れないようロックするとか手順こそありますが、これはオーナーにとって望外のありがたさ、かもしれません。もっとも、オーナー自らがトップをしまい込んでいる姿は、「あれ? 手動かよ」などと突っ込まれそうでちょっぴり寂しいです(笑)。
オープンが年イチになる可能性大
ポルシェはカブリオレやタルガではまぁまぁロジカルな開閉機構を設計してきましたし、近年の電動になってからは長年のノウハウをいかして「オープン界のトップランナー」と呼んでもいいポジションかと。
とはいえ、そんな彼らもスピードスターやスパイダーと呼ばれるモデルになると「ソフトトップ? 付いてるだけありがたいと思ってよ」的な面倒くささを発揮しています。
たしかに、718スパイダーはスイッチひとつでリヤのハッチが開閉できるなど、昔の964スピードスターに比べたら進化も著しいもの。ですが、ソフトトップのスナップを外したり、布製の幌を半分くらいは自分で畳まないとならないとなると、「オープンカーの儀式なのだ」などとカッコつけても面倒くさいことに変わりはありません。
また、718スパイダーRSとなると面倒というより筆者などは「複雑すぎて覚えるのもイヤ」なくらい。あれを外して、こっちを引っ張り、そこを持って、こちらへ差し込む、3つあるスナップを忘れず、畳むときはこうしてください……。これだけプロセスが多いと「だったら、オープンのままでいいや!」ってなること間違いありません。ウソだと思うなら、ポルシェの公式動画でチェックしてみるといいですよ。きっと途中でめまいがしてくること請け合いです(笑)
これに比べたら、スーパーセブン系の骨組みに幌をスナップボタンで留めるほうがよっぽど楽チンかもしれません。ただし、こちらは工作精度がお世辞にも高いわけではありませんので、力の加減を間違えると部品は簡単に折れたり割れたりしちゃうみたいです。
電動にしろ、手動にしろ一長一短というわけで、オープンカーでカッコつけるのも楽ではありませんね。