GTでありながらスーパースポーツ! 新型マクラーレン「GTS」は日常づかいすら可能な「全方位」に優れたモデルだった (2/2ページ)

日常使いすらできる走りと使い勝手

 センターコンソール上にある7速SSG(シームレス・シフト・ギヤボックス=DCT)のセレクターボタンでDレンジを選択し、まずはオートマチック・モードでGTSの走りを楽しむことにした。ドライビング・モードはパワーユニットとシャシーの各々で、「コンフォート」、「スポーツ」、「トラック」をチョイスすることができるが、まずは両者ともにコンフォート・モードを体験。

 ここで驚かされたのは、そのしなやかな乗り心地だ。それはこのGTSのカーボン・モノコック、「MonoCell II-T」がもつ比類なき剛性感とサスペンション各部の部分的な剛性の高さこそが生み出すもので、高速道路に入り車速が100km/hに迫るころになると、さらに乗り心地にはたとえるのならば重厚感のようなものが感じられるようになる。

 ミッドに搭載される4リッターのV型8気筒ツインターボエンジンは、前作のGTからさらに15馬力強化され635馬力の最高出力を得るに至った。最大トルクの630Nmという数字に変化はないが、広範囲で十分なトルクを発揮してくれるこのエンジンは、ともかくそのフレキシビリティという点においては絶品だ。

 車両重量(DIN空車重量値)で1520kgという軽量さもあいまって、ともかくどのような速度域から中間加速を試みても、その動きにはまったくストレスを感じさせることがないのだ。参考までにGTSでの0-100km/h加速データは3.2秒。GTとしてのラグジュアリー性とともにスーパースポーツとしてのパフォーマンスというふたつの要素を同時に、しかも最高水準で得ることのできるモデルは、世界でもそう多くはないだろう。

 前後方向にかなりの長さをもつリヤハッチは、オートマチックでのオープン&クローズが可能。それをオープンするとアクセスできるラゲッジスペースの容量は420リットルで、さらに前方には150リットル分のトランクルームが用意されている。そう、このGTSは、日常使いにさえ十分に適するモデルなのである。

 今回は「コンフォート」と「スポーツ」の両モードでのドライブがメインで、残念ながら「トラック」モードを使用するようなシチュエーションには恵まれなかったが、おそらくサーキットではGTSはまた感動的な側面を我々に披露してくれるのだろう。マクラーレンというブランドからの選択肢として、GTSは一考する価値のある存在であることは間違いなさそうだ。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
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