確かに売れてるのは「超背高」+「スライドドア」の軽自動車ばかり! だが軽を買うなら絶対検討すべき「それ以外」のクルマ4台 (2/2ページ)

軽の範疇を超えた魅力的なモデルも

ダイハツ・タフト

 ダイハツが2020年6月に満を持して登場させたタフトは、ハスラーが属するジャンルのクロスオーバーモデルでも、よりワイルドで男臭い、ピックアップトラックやバックパッカーをイメージしたエクステリア、冒険心を目覚めさせてくれるようなインテリアデザインが特徴的な個性溢れる1台。

 最低地上高は本格SUVに匹敵する190mmもあり、最大の特徴として、スーパーハイト系、ハスラーを含むほかの軽自動車にないガラスルーフ=「青空標準」(晴れていれば)のスカイフィールトップを装備していることが挙げられる。それも、ガラスルーフによる解放感、爽快感、雨の日なら情緒ある雰囲気を前後席で味わえるのだからうれしい。

 ただし、ガッチリとしたカクカクシカジカなボディの剛性の高さから、乗り心地は見た目通りに硬め。キツい段差では結構なショックに見舞われるのが難点。

日産サクラ/eKクロスEV

 日産と三菱の合弁会社NMKVの企画・マネジメントのもと、リーフ、アリアで培った日産の電気自動車に注入された先進技術、そしてアイミーブ、アウトランダーPHEV、エクリプスクロスPHEVを送り出してきた三菱の電動化技術を結集した軽規格の電気自動車がサクラとeKクロスEV。ベースはデイズ(eKワゴン)ながら、グリルレスの顔つきが、電気自動車だとひと目でわかる特徴だ。サクラは電気自動車のシリーズの1台として、あえてデイズとはまったく異なる、アリアに通じる内外装としているのに対して、三菱のekクロスEVは三菱のSUVシリーズの1台として、エクステリアはeKクロスに準じるデザインを採用している。

 サクラ、eKクロスEVのパッケージング、室内、荷室の広さはデイズと同じ。ハイトワゴン系ならではの高めの着座位置、後席の驚くほどの広さ、後席格納時に段差ができてしまう(!?)シートアレンジ性などがそのまま受け継がれている。

 前席のかけ心地はデイズよりさらにソファ感あるホールド性を持たせたものにグレードアップ。デイズで「座面のかけ心地が薄く感じられる」というユーザーの声もあった後席にしても、クッションの厚みを増し、電気自動車の走行感覚に合わせた上級感、快適感あるかけ心地のよさを実現している。

 そして、走り出せば、電気自動車がないスーパーハイト系軽自動車とは別物の、電気自動車ならではの静か(車外騒音は別だが)でウルトラスムースでリニアな加速感に先進性がある。アクセルペダル操作に対するモーターパワー、トルクの出方はじつにレスポンシブル。右足とモーターがつながったような感覚になれる。最高出力は軽自動車の規制で64馬力に抑えられてはいるが、トルクは軽ターボの倍近い19.9kg-mに達する。

 エコモードでも軽自動車らしからぬスムースな速さを発揮し、スポーツモードに至っては下手なコンパクトカーを凌駕する、胸のすく加速力を見せつけてくれるのだ。また、高速道路でe-Pedal Step OFF×エコモードにセットすれば、抵抗感なく滑走するようなコースティング状態の走行感覚も得られ、気もちよさとともに電費の向上にも直結する、電気自動車ならではの運転にも新鮮味が感じられるはずである。

 床下にバッテリーを敷き詰めていることから、乗り心地は軽自動車とは一線を画す、ハイトワゴン系にもかかわらず、低重心感覚かつ、コンパクトカーを凌ぐ上級感、上質感の持ち主。段差やゼブラゾーンなどを走破しても、不快な振動、ショックなど最小限。そう、軽自動車に乗っていることなど、忘れさせてくれる走行性能の持ち主がサクラ、eKクロスEVなのである。いい方を変えれば、時代の先端を行く電気自動車の軽乗用車版に乗るなら、現時点でこの2台しかないことになる。

 なお、一充電航続可能距離はWLTCモードで180kmとされているが、エアコンの使用では実質130kmぐらいと考えていい。それでも、普段使い、近距離使いの電気自動車としてなら、十分とも考えられる(そのぶん電気自動車としては安い)。もちろん、自宅に充電設備があればオススメできる、ということだが。

 ということで、軽自動車ではスーパーハイト系ばかりが注目され、売れる時代だが、そうじゃないほうの軽自動車にも、魅力的なクルマが勢ぞろいしているのである。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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