ハイブリッドはラリーでもやっぱり低燃費
そのほか、JN3クラスの主力モデルの一台、トヨタGR86の燃費について、2024年のチャンピオンに輝いた山本悠太選手によれば、「SSで2km/L、リエゾンで10km/Lぐらい。それは2リッターの旧型モデルも同じでした」とのこと。さらに、JN4クラスの主力モデル、スズキ・スイフトはSSで4km/L、リエゾンで10~12km/Lというのが平均的な数値だといわれている。
一方、JN5クラスのCVTモデルは燃費性能が低く、第8戦のラリーハイランドマスターズを制した大倉聡選手は、自身の駆るCVTモデルのGRヤリスについて「ずっとアクセルを踏んでいるので、SSでは2.5km/Lぐらいです。水温が高くなると燃費が悪くなりますね。リエゾンは11km/Lぐらいまで行きます」という。
さらにハイブリッド車両や電気自動車を対象にしたJN6クラスの参戦マシンは燃費性能が高く、トヨタ・アクアGRスポーツを武器にシーズン7勝目を獲得した天野智之選手は、「SSは4km/Lしか走りませんが、リエゾンでは20km/Lぐらい走ります」とのこと。さらにトヨタ・ヤリスの清水和夫選手のコ・ドライバーの山本磨美選手は「SSは4km/L、リエゾンは14km/Lで計算しています」と語る。
そのほか、オープンクラスに参戦しているトヨタ・ハイエースは、ディーゼルとガソリンで燃費が異なっており、ディーゼル仕様のSSが3〜4km/L、リエゾンが7km/L、ガソリン仕様がSSで1.5〜2km/L、リエゾンが7km/Lといった数値。同じくオープンクラスに参戦したダイハツ・ミライース ターボはSSで8km/L、リエゾンで20km/Lで、やはりラリー競技でもエンジン排気量と車両重量で燃費性能が異なっている。
ちなみに、ラリーカーは競技期間中にリフューエルとして定められたガソリンスタンドで給油を行っているのだが、ドライバー/コ・ドライバーは残された走行距離に応じて必要なガソリン量を計算し、そのぶんだけを給油している。事実、ラリーハイランドマスターズでもレグ2の2回目のリフューエルでは、11リットルや17リットルなど1リットル単位で少量のガソリンを入れる選手が多かったことも、ラリー競技の燃費事情を語るときには欠かせないトピックだといえるだろう。
もちろん、リフューエルでガソリンを満タンにしている選手もいるようで、JN4クラスでスイフトを駆る西川真太郎選手は、「そもそもドライバー/コ・ドライバーの体重が重いし、燃料がギリギリだとガス欠を心配して走りに集中できないので満タンにしています」とのこと。当然ながら満タンにすれば車両重量は増してくるのだが、それでも西川選手が第5戦のモントレーを制していることは興味深い。
このように、ラリーカーの燃費はじつにさまざまで、各クルーは給油量をシビアにマネジメントするなど、ドライビング以外の部分でも激しいバトルを行っているのである。