12V・24V・48Vってマイルドハイブリッドはクルマによって電圧が違う! 電圧が変わると何が変わる?? (2/2ページ)

12Vはコストに厳しい軽自動車にピッタリ

 それはさておき、マイルドハイブリッドの電圧は48V1本というわけではない。前述したように、マツダのM Hybrid Boostは48Vだが、同社のMAZDA3などに搭載されるM Hybridは24Vとなっている。また、スズキや日産・三菱の軽自動車にはマイルドハイブリッドとなっているモデルが多いが、それらは12Vの低電圧タイプとなっている。

 はたして、マイルドハイブリッドにおける電圧の違いはどのようなメリット・デメリットがあるのだろうか。

 前述した電圧(V)×電流(A)=電力(W)という計算からもわかるように、電圧が高いほどモーター出力(W)を稼ぎやすいのは明らか。つまり、マイルドハイブリッドのなかでもモーターアシスト量を稼ぎたい重量車では48Vを採用することがメリットになる。

 逆に12Vマイルドハイブリッドは高出力化には向かないが、コスト面でのメリットが大きい。いうまでもなく、ほとんどの乗用車において電装系は12Vで設計された汎用的な部品を使っている。ナビやオーディオだけでなく、パワーウインドウ、ワイパー、メーターなどなど、電装品の多くは12Vで動く設計だ。

 冒頭で記したようにISGを使うマイルドハイブリッドでは、システムの電圧がジェネレーターの発電する電圧となる。つまり、48Vマイルドハイブリッドで12Vの電装系を動かすためには電圧を下げるためのコンバーターが必要になる。しかし、12Vマイルドハイブリッドであれば、そうした「余計な部品」は不要となる。つまり、コストを下げることができるのだ。それは軽自動車のようなカテゴリーにおいてメリットとなるのは明確だ。

 逆に、電装系を高電圧で動かすことのメリットもある。たとえば電動ブロワーで吸気を送って過給する電動ターボというアイディアにおいて、48V化はメリットになる。そのほか、モーターを利用したスタビライザーや4輪操舵など高電圧化を利用してクルマのシャシー性能を高めるアイディアも数多くある。高価格帯のマイルドハイブリッドにおいて、48Vを採用することは付加価値につながる判断ともいえるだろう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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