むしろ日本のほうが安いくらいに価格は高騰
ADAC (ドイツ自動車連盟)の調査によると、たとえばドイツで長年新車販売数No.1を継続中の庶民の味方のVWゴルフだが、90馬力のもっとも廉価モデルのオプションなし価格は2021年には2万700ユーロ(約338万円)が、2023年には3万1145ユーロ(約509万円)まで値上がりしているという状況だ。他メーカーも、とくに採算が取りにくい小型車の値上がり率が高いという。
御三家のもっともスタンダードなモデルのオプションなしのドイツ国内での新車ベース価格は以下のとおり。
BMW320i セダン:5万1900ユーロ~(約848万円)
アウディA4 :4万1800ユーロ~(約683万円)
メルセデス・ベンツC200:5万3680ユーロ~(約877万円)
日本で販売される御三家には、すでに各日本法人がセレクトした日本人好みのある程度のオプションがパッケージになっているが、ドイツ本国で新車を購入する場合はスタンダードなオプションを追加すると1万~2万ユーロ(約160万~320万円)が、ベース車両にプラスされると予想する。御三家の庶民モデルとされているクラスでさえこの価格であるだけに、たとえ円安による影響があったとしても、誰にでも購入しやすいクラスのクルマではないのは明らかだ。
ドイツ人の2023年度の平均月収は4323ユーロ(約71万円)、年収では5万1876ユーロ(約850万円)と日本と比較すると一見遥かに多いように見えるが、所得税等が非常に高いため、手もとに残る額は驚くほどに減る。また、日本のような通勤・家賃手当等の福利厚生、ボーナスを設けている会社は少ない上、物価や光熱費、家賃等を含めた生活費は日本よりも高いなかで、プレミアムクラスの車両を新車購入、維持するのはなかなか容易ではないのではないだろうか。