ジャンルによって追求する場所はさまざま
■スポコン系
「スポコン系」とは「スポーツコンパクト」の略で、小柄な日本車をベースにしてエンジンのチューニングや大径ホイールの装着、「バイナル」と呼ばれるボディのラッピング+アンダーネオンの装着などを行うスタイルのカスタムです。
単純にいってしまうと、「日本車」で「大パワー化」+「派手な外装」というスタイルです。
発祥はアメリカの西海岸で、そのスタイルを扱った映画「ワイルドスピード」のヒットでアメリカ全土に広がり、ヨーロッパや日本でもそのスタイルを楽しむ人たちが生まれました。
いまでは当時ほどの勢いはなくなってしまいましたが、スタンス系のイベントでちらほら見かけることがあります。
■ドリ車(ドリフト系)
この「ドリ車」は、車両を見る限りは上記の「スポコン系」に近いテイストも感じられますが、その成り立ちは異なります。こちらはあくまでもドリフト走行をカッコよくキメるための車両ということがキホンです。
まず、ドリフトをメイクしやすくするために足まわりを改造します。白煙モクモクでアピールしたいタイプはターボエンジンで大パワーを絞り出す改造を行い、その一方でドリフトアングルの深さやコーナー間の繋ぎをキレよくまとめたいタイプは足まわりへのこだわりをカタチにするなど異なる方向性があり、そのスタイルが外観にも現れる傾向があります。
走りがもっとも優先するポイントではありますが、ショー的要素が強いことから外観の仕上げにも力を入れているケースが多く、車高をできるだけ低く見せたり、カラーリングでアピールしたりするのも楽しみのひとつになっています。
発生はストリートですが、いまでは主戦場がサーキットに移ったため、カスタムの度合いがエスカレートする傾向もあります。
■ローライダー
こちらはかなり歴史が古く、発祥は1940年代のアメリカ西海岸とされています。
「ローライダー」とは「lowrider」と書き、「車高の低いクルマあるいはその乗り手」という意味合いのようです。2輪も4輪も含み、その呼び名のとおりにフロアを接地させるほど低く下げるのがこのカスタムのキホンです。
速さは重視しておらず、むしろ大柄な車体を地面すれすれでゆっくり流すように走ることがカッコイイとされていたようです。
この車高の低さを競い合うなかで「ハイドロ」と呼ばれる油圧の車高調整機構が生み出され、それが発展してフロントを高くホップさせたり、対角線上のタイヤが浮き上がる斜め立ちをキメるなどのスタイルが派生しました。
日本では完全に「車高短」のスタイルが根付いていたためか、国産車をローライダーと呼ぶことはほぼありません。一部のアメ車好きが現地そのままのカスタム車両を乗りまわすなどしていましたが、ブームというほどには広まらなかった印象です。