悪路を激速で走るタイヤってどんなもの? じつは公道走行も可能な「ダートタイヤ」の中身をプロドライバーに聞いてみた (2/2ページ)

勝者たちの足もとを支えるダンロップ

 一方、ダンロップのダート用タイヤはドライ用として「DIREZZA 88R」、ウエット用として「DIREZZA 74R」、超硬質ダート用タイヤとして「DIREZZA 95R」がラインアップされているが、WMオクヤマDL栗原企画BRZを武器に第2戦の丸和オートランド那須を制した鎌田卓麻選手は「ウエット用の74Rはザクザクした路面や雨が降ったあとの滑りやすいコンディションのときに装着しますが、この74Rは特殊なタイヤで外径を大きくして、タイヤを細くすることでタテの面積を増やしている。その結果、トラクションを生かして走ることができるので、ドライでも横方向を必要としないコンディションだと74Rを使うことはあると思います。逆に横方向が弱いので、横方向を必要とするラリーではウエットでも使用していません」と解説する。

 さらに、ドライ用の88Rについて鎌田選手は、「オールラウンダーなタイヤで、タテ方向とヨコ方向のバランスがすごくよく仕上がっています。すごくマイルドなタイヤで、滑らせるようにドリフトアングルをつけて、タイヤを回すことで安定した走りができるようになっていますが、ラリー競技のロングステージではタイヤが発熱してグリップが低下してくるので、走らせ方が変わってきます。ダートトライアルはすべてのコーナーを攻めて走りますが、ラリーはひとつのコーナーではなく、平均スピードを考えて走るし、路面コンディションもどうなっているかわからないので、マネジメントしながら走っています」とのこと。

 続けて95Rについては「砂利が履けて、ゴムのグリップを活かせるコンディションになった時に95Rを使用しています。ターマックと同じように、ゴムを使ってグリップさせるタイヤなので、ドライビングも違ってきますね。舗装路で考えると同じサイズならエコタイヤよりもグリップすると思います」と解説する。事実、鎌田選手は95Rを武器に最終戦となるテクニックステージ・タカタでも豪快な走りを披露し、Dクラスで今季2勝目を獲得している。

 ちなみに、ダートトライアルやラリーのグラベルステージのような未舗装路といえば、パンクをイメージしがちだが、「パンクにはカットでエアが漏れる場合と、リム落ちといってホイールとタイヤが外れて起きる場合の2種類があるんですけど、ダート用タイヤはゴムが厚くなっているのでなかなかカットすることはない。たまにラリー競技ではサイドをカットをする場合がありますが、ダートトライアルでバーストすることはあまりないですし、最近のホイールはリム落ちも少なくなっています。ダートトライアルでは保険を兼ねてチューブを入れているドライバーもいますが、それでもあまりパンクすることはないと思います」と鎌田選手は語る。

 このように、ダート用タイヤはヨコハマ、ダンロップともに3種類がラインアップされており、それぞれに特性が異なることから、タイヤ選択がリザルトを左右。

 ちなみにダート用タイヤは一般道も走行可能であり、最大のサイズである205/65/15でも、だいだい1本あたり2万円前後で販売されているので、未舗装路を走行してみたい……という読者は、ダート用タイヤを体験してみてはいかがだろうか?


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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スバル・フォレスター
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